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人事必見!合同企業説明会で成果を出すための完全マニュアル
合同企業説明会やインターンシップ説明会に、はじめて参加する人事・採用担当者の方へ。本記事では、出展企業として成果を出すために欠かせない事前準備のポイントやブース運営の工夫、秋採用以降の母集団形成まで、実践的なノウハウを網羅的に解説します。
知名度の有無に関わらず学生に選ばれる企業になるために、まずは「知っておくべきこと」から押さえていきましょう。
目次
合同企業説明会とは?企業と学生が出会う効率的な採用手段
合同企業説明会(合説)は、複数の企業が一堂に会して自社の魅力を学生に直接アピールできる新卒採用イベントです。会場では各企業がブースを設け、学生と対面で情報交換を行う形式が一般的です。
イベントの規模や形式は多様で、たとえば東京ビッグサイトのような大規模会場で開催される全国型イベントもあれば、地域密着型で20社前後が参加する小規模な説明会も存在します。さらに「理系学生限定」「東北地方の学生向け」「外国人留学生対象」など、ターゲット層を明確に絞った合同説明会も増えています。
合同企業説明会のメリット
自社の認知度向上と採用ブランディングに直結する
合同企業説明会の最大の魅力は、自社の知名度に関係なく、幅広い学生に直接アプローチできる点です。
学生の多くは、就活初期には業界研究や企業研究が浅く、知っている企業名に偏りがちです。そのため、単独で情報発信してもリーチできなかった層に、自社の存在を『偶然知ってもらえる』という機会が生まれます。
特に、大手企業のブースに集まった学生が「ついでに立ち寄った」ことをきっかけに興味を持ち、その後の会社説明会や選考に進むケースも少なくありません。これは偶発的接点(セレンディピティ)を戦略的に活かす採用施策の一つと言えます。
さらに、合同説明会に継続的に参加することで、学生の間に「あの会社、よく見かける」という認知が蓄積され、採用ブランディングの強化にもつながります。特に中小企業やBtoB企業のように一般消費者との接点が少ない企業にとって、貴重な広報チャネルとなります。
短期間で多くの学生と接触でき、効率的に母集団形成ができる
限られた時間の中で数十名以上の学生に会社説明を行えるため、効率的に母集団形成を図れる点もメリットです。
通常、学生と接点を持つためには、求人媒体への掲載や単独説明会の開催、学校訪問などに手間やコストがかかりますが、合同企業説明会では1日または数時間で数十〜数百名の学生と効率よく接触可能です。
例えば、1ブース20〜30分の説明を6回転させれば、1日で100人前後にアプローチすることも十分可能です。これは、特にリソースの限られた中小企業や、採用専任担当がいない企業にとっては大きなメリットです。
さらに、合同説明会は「説明会=採用予備軍」としての第一歩になるため、その場で印象づけることができれば、後の個別会社説明会や選考フローへの誘導率も高まりやすいのです。
学生のリアルな反応をその場で把握できる
合同企業説明会では、学生の反応をダイレクトに観察できる絶好の機会でもあります。
プレゼン中の表情や態度、質問内容、立ち去り方などから、自社のどの情報が響いているのか、逆に興味を持たれにくい部分はどこか、といったヒントが得られます。
これは、Webやエントリーシートだけでは読み取れない感情のログを取得できる貴重な場です。また、複数社のブースを回った学生とその場で会話することで、「学生目線での比較ポイント」や「他社との違い」が浮き彫りになることもあります。
このような一次情報は、次回の説明会内容の改善や、採用パンフレット・スライドのブラッシュアップに役立ち、継続的な採用活動の質向上にもつながります。
合同企業説明会のデメリットと注意点
合同企業説明会は魅力的な採用チャネルである一方で、出展するだけでは成果が保証されないという側面もあります。特に知名度の低い企業や初参加の企業にとっては、コスト・運営・集客の面で思わぬ課題に直面することもあります。
集客は保証されない
どれほどイベント規模が大きくても、自社のブースに学生が集まらなければ意味がありません。
合同企業説明会では、会場規模が大きく来場者数が多いイベントに出展すれば、自然と学生が集まると期待しがちですが、「イベント全体の集客力=自社ブースの集客力」ではありません。
たとえば、数千人規模の就活生が訪れるイベントに出展しても、ブースに来る学生が30名以下というケースもあります。これは、学生が訪れるブースを能動的に選んでいるためであり、知名度や見た目の第一印象、案内スタッフの印象などが影響します。
つまり、集客を主催者任せにせず、自社で来たくなるブースづくりをする努力が不可欠です。
知名度の低い企業は不利になりやすい
大手企業に比べてブース訪問者数が少ないのは避けられない現実です。
大手企業や有名企業のブースには自然と学生が集まる一方で、知名度の低い企業や地方の中小企業は、説明会場で素通りされる存在になってしまうリスクがあります。
学生は、最初に目に入った企業ロゴや聞いたことのある社名に興味を持つ傾向が強く、「知らない企業」は最初から選択肢に入らないことも多いのが現実です。このため、ただ机とパンフレットを並べただけのシンプルなブースでは学生の足が止まりません。
視覚的なインパクトや話しかけやすい雰囲気を作る工夫、あるいは若手社員や内定者など学生に近い存在を配置するなど、戦略的な設計が求められます。特に初参加の企業や採用広報に課題を抱える企業ほど、受け身の姿勢では成果を出すのは難しいといえます。
費用対効果が合わないケースも
合同企業説明会への出展には、参加費用だけでなく、装飾やノベルティの制作費、人件費、交通費など、さまざまなコストがかかります。
中には1回の出展で数十万円、場合によっては100万円以上の予算を投じる企業もあります。しかし、明確な目的や戦略を持たずに参加した場合、得られる学生データが少なく、説明会後の選考につながらないまま終わってしまうリスクもあります。
これは費用対効果の面で非常に大きな問題です。特に初めて合同説明会に参加する企業は「とりあえず参加してみる」という曖昧なスタンスではなく、誰にアプローチしたいのか、説明会を通じてどのようなアクションにつなげたいのかといったゴール設計が不可欠です。
成果を出している企業は、合同説明会後のフォロー体制や選考誘導も含めて、一貫した導線設計を行っており、その差が採用成功の明暗を分けています。
合同説明会で成功するために企業が意識すべきこと
合同企業説明会で成果を上げるには、「出展するだけで学生が来る」という受け身の姿勢を捨て、自ら学生を引き寄せる工夫が不可欠です。
ブースの位置や装飾、配布物、動画や音楽による演出など、ブースに立ち寄りたくなる理由を作ることが大切です。
また、ブース内のスタッフ構成も重要な要素です。できるだけ若手社員や内定者を配置し、学生が話しかけやすい雰囲気を作ることで、訪問数やエンゲージメントが大きく変わります。
企業説明会における事前準備の重要性
合同企業説明会では、企業が学生と直接コミュニケーションを取ることができる貴重な機会です。普段の採用広報では出会えないような学生や、意外な志向を持つ優秀な人材と接点が生まれることもあり、母集団形成の幅を広げるうえでも大きなチャンスと言えるでしょう。
しかし、限られた時間と空間のなかで学生にしっかりと企業の魅力を伝えるには、事前準備の質が成功を左右します。ぶっつけ本番では伝え漏れや説明のムラが生じやすく、せっかくブースに来た学生が離脱してしまう可能性も高まります。だからこそ、合同企業説明会やインターン説明会における「ブース準備」や「伝える内容の設計」は非常に重要です。
まず、学生の注意を引き、ブースに足を運んでもらうためには、視覚的・聴覚的な演出が有効です。動画やBGMを活用することで、会場の中でも自社ブースの存在感を高めることができます。特に、社内の雰囲気や働く社員の姿を映した映像は、学生にとって企業理解を深めるきっかけとなります。
加えて、設置するアイテムにも工夫が必要です。
パンフレットや会社案内資料だけでなく、ブース全体を「ブランド体験の場」として設計することが大切です。たとえば、目を引くデザインの看板や、自社サービス・プロダクトの展示、パソコンによるスライドや映像のループ再生、体験型のデモコンテンツなど、五感に訴える演出が学生の記憶に残ります。
また、ノベルティや販促物も効果的です。社名入りのクリアファイルや文房具、ロゴ入りのお菓子、シールなど、実用的で持ち帰りやすいアイテムは学生の満足度向上にもつながります。さらに、イベント特化型の演出として、のぼり旗や着ぐるみなどを活用する企業もあり、学生の注目を集めやすくなります。
このように、企業説明会では「資料配布」だけでなく、「体験・印象に残る仕掛け」をどう設計できるかが鍵です。初対面の短時間の出会いだからこそ、五感を刺激する演出と丁寧な準備が、エントリー意欲につながる第一歩になります。
若い新入社員や内定者アルバイトを動員
合同企業説明会において、ブースの印象を左右する重要な要素のひとつが「誰が対応しているか」です。
特に地方企業の説明会では、30代~40代の総務部長クラスの社員が少人数で対応しているケースが多く見受けられます。しかし、それだけでは学生との距離感が生まれやすく、ブースに立ち寄ってもらいにくくなる可能性があります。
そこで有効なのが、新入社員や内定者アルバイトなど、年齢が近く、親しみやすい若手人材の動員です。
就活生にとっては「自分と似た立場だった先輩」が気さくに声をかけてくれることで心理的ハードルが下がり、話しかけやすくなります。さらに、実際に就活を経験したばかりの若手社員は、学生の立場を理解したうえで会話ができるため、リアルで共感性の高い企業情報を届けることができます。
とくに人事部に若手が在籍していない場合でも、この日だけは他部署から応援を依頼してでも若手社員を配置する価値があります。内定者アルバイトであれば「実際に選考を受けている立場の声」を伝えることができ、学生との信頼構築にもつながります。
また、ブースが閑散としていると、周囲の学生に「人気がない企業」という印象を与えてしまい、逆効果になることも。誰も学生がいない状態が続くと、通りがかった学生もブースに入りづらくなり、さらに人が寄り付かないという悪循環に陥ります。この状況を避けるためにも、ブース前での積極的な声がけや呼び込みは必須です。
とはいえ、通りすがりの学生に声をかけても無視されることは珍しくありません。それでも諦めずに続けることが大切です。重要なのは、ライバル企業との差別化を図り、思わず立ち止まりたくなるような空気感や接客スタイルを演出することです。
たとえば「内定者の生の声を聞いていきませんか?」といったターゲットを絞った呼びかけや、若手社員の自然な会話が聞こえる状態をつくるだけでも、ブースへの集客効果は大きく変わります。
企業説明は簡略化すること
個別の企業説明会は60分~90分程度にまとめていると思います。業界説明、企業業績、仕事内容、求める人物像、社内制度や福利厚生、内定までの流れ、を話すとなると大体60分はかかります。
しかし、合同企業説明会では1クール20分程度が理想です。
回転率を上げるためと、就活生の負担を考慮すると20分程度が無難です。色々と企業を回ってみたい学生は30分以上時間がかかるとわかると回避されてしまいます。ちょっと興味関心がある程度だと30分以内が限界ですので、要点だけ絞って個別の会社説明会に誘導するようにしてほしいと思います。
途中に10分程度の休憩をはさみながら、休憩中は質問タイムにしましょう。プレゼンの最後に「個別で聞きたい質問があれば10分間の休憩タイムで聞きに来てくださいね」と言えばスムーズに進行します。
秋採用以降の母集団形成方法
最近では学生との接点を増やすために秋以降も新卒採用を継続する企業が増えてきました。秋採用では春と同じ企業説明会や採用選考をおこなってもエントリー数は増えません。秋採用のキーワードは「スピード」と「コミュニケーション」です。
秋に就職活動をおこなっている学生は「内定が無い学生」だけでなく、「内定辞退した学生」や「内定はもらっているけれど就職活動を継続している学生」が多くいます。そのため仕事の説明はもちろんですが、なぜ就職活動を継続しているかを理解してあげることが大切です。
個別開催の場合、大規模なイベントホールを借りるのではなく、自社の会議室でおさまる程度が理想です。できれば参加学生は5人以下。少人数でのコミュニケーションをメインに重点をおき、選考ではなく相談会形式を導入している企業もあります。
「私服参加OK」「少人数開催」「最短10日間で内定」「一次選考同時開催」などスピード採用を実施している企業のキーワードになります。秋・冬採用ではグループディスカッションや集団面接を実施する企業はいません。
面白法人カヤックが「1人だけの会社説明会」をおこない注目を集めましたが、1対1のスタイルでコミュニケーションをとりあうことで、相互理解を深めていくのがセオリーです。
志望理由について
面接で重要なのが志望理由を無理に質問しないことです。
もちろん聞いても問題ないですが、参考程度にしましょう。そもそも秋採用を本命にしている学生や、知名度が低い中小企業にとっては応募する前から第一志望の学生はほとんどいません。面接の対応が良い企業は、内定後に第一志望になった学生もいます。
面接は企業側のアピールの場です。選考中に志望動機の形成をサポートし、自社の魅力を伝え、ミスマッチをなくしながら入社意欲を引き出す努力が必要だと言えます。秋採用に参加する学生は何らかの疑問や不安を抱えていますので、それらを理解し、払拭してあげるようにしましょう。
まとめ
合同企業説明会の開催時期は、採用活動が最も忙しくなるタイミングのひとつです。
そのため、当日のトラブルや準備不足による機会損失を防ぐためにも、早めの準備と丁寧な段取りが欠かせません。説明内容やプレゼンの進行は、必ず事前にリハーサルを行い、学生に伝わりやすい構成にブラッシュアップしておきましょう。
また、ただブースを構えて待つだけでは成果にはつながりません。学生との接点を最大化するには、企業側が主体的に動く姿勢が求められます。本記事で紹介した準備や工夫を実践し、限られた時間のなかで最大限の効果を引き出す合同企業説明会を実現してください。