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週休3日制は本当にうまくいく?導入企業から見えた現実と問題点
週休3日制が、ヤフー株式会社など大手企業で導入・検討されていることがニュースでも取り上げられ、話題になっています。
2017年以降、働き方改革の流れの中で注目され続けている制度ですが、「理想的に聞こえる一方で、本当に現場で回るのか?」と感じる人も多いのではないでしょうか。
今回は、実際に週休3日制を導入している企業の事例をもとに、メリットだけでなく、少し気になる点や現実的な課題について整理してみました。
目次
週休3日制の導入事例①|短時間勤務型(日本KFC)
日本KFCが16年度から週に3日休める「時間限定社員」制度を導入した。勤務を週20時間に減らし、希望する日に休める。18日時点で20人が同制度で勤務している。育児休業から復帰した女性も利用しており、同社は「社員の離職防止につながる」とみる。
引用:日経新聞『週休3日広がる 導入企業8%、10年で3倍に 大手に続き地方でも 人材確保へ環境整備』
この制度は、全国展開企業が導入してきた「地域限定社員」に近い印象を受けます。確かに、育児や家庭の事情がある人にとっては、非常にありがたい制度です。
ただ、正直なところ「昇給や昇進には、やっぱり影響するよな…」と感じてしまうのも自然ではないでしょうか。週休2日でフルタイム勤務している社員から見ると、同じ評価軸で評価されるのは納得しづらい面もありそうです。
結果として、育児休業明け社員向けの限定施策になってしまう可能性も否定できません。企業側にとっては、経験者が1人でも戻ってきてくれるのは助かる。ただ、「制度としてどうなのか?」と考えると、少し悩ましいところです。
労働時間を維持する週休3日制|ウチヤマホールディングス
九州を地盤とする介護施設運営会社、ウチヤマホールディングスは16年度中に全81施設の約2000人に広げる。勤務体系を「1日8時間・週5日」から「1日10時間・週4日」とし、勤務時間は週40時間で変えない。
このやり方は、個人的にはかなり現実的だと感じました。
労働時間を減らさずに週休3日制を導入するとなると、正直、この方法しかないのではないかと思います。評価や賃金の仕組みも大きく変えずに済み、フルタイム社員との不公平感も比較的生まれにくい。
一方で、1日の労働時間が長くなる負担は当然あります。それでも「制度として成立しやすい」という点では、最も現実路線の週休3日制かもしれません。
労働時間を2割削減する週休3日制|サタケの挑戦
精米機メーカーのサタケ(広島県東広島市)は17年夏、本社と関連会社2社の全社員約1200人を対象に導入する。18年から本格的に移行する計画で、週の労働時間を現行比2割減の32時間にして週休3日の実現を目指す。不要な会議や資料作成をやめるといった効率化で勤務時間を短縮する。
理想的ではありますが「本当にそれで2割も削減できるのか?」というのが正直な感想です。もし20%削減できたとしたら、「今までどれだけ無駄な仕事をしていたんだろう…」という話にもなってしまいますよね。
業務の見直しや生産性向上が前提になるため、このモデルを実現できる企業は、かなり限られる気がします。ちなみにサタケさんは社内結婚したカップルには、自社製品の家庭用精米機(3万5000円相当)をプレゼントするユニークな婚活制度を導入している企業です。
週休3日制が向いている企業・向いていない企業
週休3日制は「導入すればうまくいく制度」ではありません。実際には、企業の業態・評価制度・マネジメントの成熟度によって、向き不向きがはっきり分かれます。
ここでは、これまでの導入事例や現場感を踏まえ、「比較的うまくいきやすい企業」と「導入すると歪みが出やすい企業」の特徴を整理します。
週休3日制が向いている企業の特徴
成果や役割が比較的明確な企業
業務の成果が「時間」ではなく「アウトプット」で測りやすい企業は、週休3日制と相性が良い傾向があります。IT・Web系、専門職、プロジェクト型の業務などはその代表例です。
「何時間働いたか」よりも「何をどこまでやったか」で評価できる環境があるかどうかが、ひとつの分かれ目です。
業務がある程度仕組み化・標準化されている企業
属人化が少なく、
- 業務フローが整理されている
- 引き継ぎや分業が機能している
こうした企業では、勤務日数が減っても業務が回りやすくなります。逆にいえば、週休3日制は業務のムダや曖昧さが一気に可視化される制度とも言えます。
人材確保・定着に強い課題感を持っている企業
育児・介護・副業など、ライフスタイルの多様化に対応したい企業にとって、週休3日制は「人を集めるための制度」として意味を持ちます。
特に、
- 経験者を手放したくない
- フルタイムが難しい人材とも関わり続けたい
こうした課題を持つ企業では、一定の効果が期待できます。
週休3日制が向いていない企業の特徴
評価基準が「頑張り」や「滞在時間」に寄っている企業
「長く働いている人=評価が高い」「忙しそうな人が優秀」こうした空気が残っている企業では、週休3日制はほぼ確実に摩擦を生みます。
制度だけ導入しても、
- 不公平感
- 陰での不満
- 利用者への偏見
が生まれやすく、結果として形骸化しがちです。
現場依存・対人依存が強い業態
介護・小売・飲食・コールセンターなど「人がそこにいないと成立しない仕事」は、週休3日制の設計難易度が高くなります。
この場合「人員を増やす」「シフトを細かく組み直す」など、制度導入以上に運用コストが膨らむ可能性があります。
マネジメントが属人的な企業
管理職が「気合と根性」で現場を回している企業では、週休3日制はマネジメント崩壊の引き金になることもあります。
業務配分・進捗管理・評価の設計が曖昧なままでは、「誰が、いつ、何をやるのか」が分からなくなりやすいためです。
週休3日制を考えるときに避けて通れない問題
事例を見ていくと、週休3日制には次のような論点が浮かびます。
- 評価や昇給をどう設計するのか
- フルタイム社員との公平性
- 労働時間削減は本当に可能なのか
- 一部の社員向け制度で終わらないか
週休3日制は「休みが増える制度」ではなく、働き方全体をどう設計するかの問題なのだと感じます。
まとめ|万能ではないが、意味のある選択肢
政府は働き方改革を進め、副業解禁なども後押ししています。少子高齢化で労働力が減っていく中、「今いる人が、どうすれば働き続けられるか」は避けて通れないテーマです。
週休3日制は、すべての企業に合う万能策ではありません。ただ、これまで働きたくても働けなかった人にとっては、確実に選択肢を広げる制度でもあります。
大切なのは「流行っているから導入する」ことではなく、自社にとって無理のない形で設計できるかどうか。週休3日制は、その問いを企業に突きつける制度なのかもしれません。

