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書類選考で優秀な人材を逃す理由|人材要件の設計ミスと採用基準の見直し方
採用手法・採用知識書類選考で優秀な人材を落としてしまう原因の多くは、人材要件の厳しさとスクリーニング基準の設計ミスにあります。
特に人材紹介会社を活用している場合「経験が一致しているか」「年齢や経歴が条件に合っているか」といった形式的な条件に寄せすぎることで、本来活躍できる人材を取りこぼしてしまうケースは少なくありません。
本記事では、人材紹介会社との実際の会話をもとに、書類選考で起きがちなミスマッチの構造と、採用要件を見直すべきポイントについて解説します。
書類選考で優秀な人材を逃してしまう理由
書類選考では「経験の一致」や「年齢・学歴」といった条件でスクリーニングされるのが一般的です。しかし、この基準を厳しくしすぎると、本来活躍できる人材を取りこぼしてしまうケースは少なくありません。
実際に、都内の人材紹介会社(転職エージェント)と話をする中で、人材要件と書類選考のマッチング(採用基準の設計)について議論する機会がありました。
人材紹介会社に依頼する企業の多くは、最低限の必須スキルを伝えることで「一次選考の代行」を期待しています。ただし、この要件設定が厳しすぎると、エージェント側も紹介できる人材が限られ、結果的に優秀な人材を逃してしまうことがあります。
ここでは参考事例として、無形サービスの法人営業を募集しているA社のケースを見てみます。
- 募集職種:法人営業
- 事業内容:不動産ウェブサイト運営
- 従業員数:100名
- 仕事内容:自社運営サイトの広告出稿を提案する新規開拓
- カテゴリ:第二新卒
- 求める年齢層:24歳~28歳(社会人2~5年目)
- 必要な能力・経験:インターネット広告業界、不動産業界での営業経験
スクリーニング項目(書類選考の評価基準)
- ①年齢・学歴
- ②営業経験(法人営業/個人営業)
- ③営業経験(有形/無形サービス)
候補者の人柄や仕事観は面接で見極めることが多いため、書類選考ではこのように「定量的に判断しやすい項目」が重視されやすい傾向があります。
組織の平均年齢を踏まえて①と営業経験の有無のみを求める企業もあれば、有名企業のように応募数が多い場合は②や③まで細かく求めるケースもあります。さらに採用難易度が高い企業になると、書類選考の段階で経験年数や営業実績まで求められることもあります。
人物重視の採用であっても、面接効率やミスマッチ防止の観点から「自社サービスと親和性の高い無形サービスの法人営業経験者」を求めるのは自然な判断です。
しかし一方で、書類選考の段階で経験の一致を重視しすぎると、ポテンシャルの高い人材を取りこぼしてしまうという問題も起きています。
書類選考で落ちやすいが実は活躍可能な人材
書類選考では評価されにくいものの、実務では高い成果を出す可能性がある人材も存在します。
たとえば、以下のようなケースです。
- 1.業務委託でフルコミッション(完全歩合制)の営業経験1年。
- (大卒/28歳/正社員経験3年未満/転職3回)
- 2.アルバイトだけど営業代行会社でテレアポ経験2年半(アルバイト)。
(高卒/24歳/正社員経験なし)
いずれも「経歴の整合性」や「正社員経験」といった観点では評価されない一方で、実際の営業現場では成果に直結する経験を積んでいる人材です。
特に、泥臭く行動量を担保できるタイプやストレス耐性が高い人材は、商材や教育体制次第では大きく伸びる可能性があります。しかし、職務経歴が求人要件と大きく乖離しているため、転職エージェントとしても紹介しづらく、書類選考の段階で落ちてしまいやすいのが実情です。
実際に人材紹介会社の方とも話をしましたが「業界経験が違っても営業スキルがあり、本人の意欲と現場の教育体制が整っていれば十分に活躍できる」という点で意見は一致しました。
つまり、書類選考で重視している「経験の一致」と、現場で求められる「再現性のある営業力」にはズレが生じているケースがあるということです。
採用要件がズレる本当の原因(現場との乖離)
採用要件がズレてしまう最大の原因は「採用で見ている条件」と「現場で実際に必要な能力」が一致していないことにあります。
よくある人材要件定義の失敗例(採用ミスマッチの原因)として、採用担当者は法人営業経験を求めている一方で、現場に確認すると実際にはテレアポ能力こそが最も重要とされるケースがあります。(商品知識やクロージングは上司の同行でカバー可能)
実際、成績上位者を見てみると、テレアポに強い人材が並んでいることも珍しくありません。どんなサービスでも訪問件数の確保は不可欠であり、決裁者とのアポイントが取れれば、その後の商談はなんとかなるケースも多いからです。
こうしたズレが起きる背景には、ペルソナ設計や要件フレームの分解不足に加えて、現場の営業責任者から伝えられた条件が、そのまま採用要件としてスライドされている構造があります。
さらに難しいのは、このような組織内部の事情や個人の価値観に依存する問題は、外部の求人広告代理店や人材紹介会社からは改善しづらい点です。採用担当者が窓口となるため、現場責任者と直接すり合わせる機会が限られているためです。
仮に採用担当者自身が要件を決めている場合でも「過去に似た人材が1ヶ月未満で早期離職した」といった経験があると、条件を緩和する意思決定は簡単ではありません。
また、転職回数が多いジョブホッパー型の人材や正社員経験がない人材が書類選考で不利になるのは一定の合理性があります。採用ミスマッチは企業側だけでなく、候補者側のキャリア選択の問題が影響しているケースもあるためです。
ただし、日本は現在売り手市場が続いており、採用担当者が受け身のままでは紹介数は伸びません。条件を見直すことで母集団が広がるメリットもあるため、書類選考の段階で“ベストマッチ”を求めすぎないことが、結果的に採用成功につながる可能性があります。
まとめ
一言で言えば「採用ハードルを調整しましょう」が重要ですが、実際の現場ではそれほど単純な話ではありません。
今回ご紹介したように「人柄も能力も高いが、経歴が要件に合わないために機会を失っている人材」は一定数存在します。こうした人材を取りこぼしている可能性があるという視点は、採用活動において見落とされがちです。
転職エージェントのビジネスモデルの都合上、自社と同じ業種・類似サービスの経験者を求めがちですが「その条件は本当に必要なのか」「そもそも市場に存在するのか」を一度立ち止まって見直すことも重要です。
もし転職エージェントからの紹介数が伸び悩んでいる場合、それは単に市場の問題ではなく、人物像の設計や要件定義に原因がある可能性もあります。
書類選考でベストマッチだけを求めるのではなく「入社後に活躍できる人材とは何か」という視点で採用基準を再設計してみてはいかがでしょうか。

