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中途採用の選考辞退・内定辞退が増える本当の理由と改善策
景気回復によって有効求人倍率が上がり、新卒の就職活動生や中途の転職希望者にとって有利な売り手市場となりました。しかし企業側にとっては応募者の選考辞退や内定辞退率が増えてしまう悩ましい時代でもあります。
採用担当者にとってはせっかく良い人が来ても内定辞退や選考辞退になってしまい、悩んでいるという声をよくお聞きします。しかし内定辞退や選考辞退が増えている原因はけっして市場環境や景気の問題だけではありません。
会社側にも原因が潜んでいるという事実をしっかり認識することで、改善につなげていってほしいと思います。その原因と改善策をまとめてみました。
選考辞退の理由ランキング
ある転職求人サイトのアンケート結果です。
面接前の辞退理由
- 第1位 応募後に再考し、希望と異なると判断した(41%)
- 第2位 希望に反したスカウトメールだった(32%)
- 第3位 ネット上でよくない評判や噂を聞いた(30%)
- 第4位 他社での選考が通過した・内定が決まった(20%)
- 第5位 就業中で面接日程の都合が合わなかった(15%)
面接後の辞退理由
- 第1位 仕事内容が希望と合わなかった(44%)
- 第2位 勤務地・給与など条件が希望と合わなかった(40%)
- 第3位 面接での説明と求人情報に齟齬があった(36%)
- 第4位 面接官の行動や態度が悪かった(34%)
- 第5位 社内の雰囲気が良くないと感じた(31%)
内定辞退の理由ランキング
内定後の辞退理由(複数回答可)
- 第1位 勤務地・給与など条件の折り合いがつかなかった(45%)
- 第2位 社風が自分には合わないと判断した(32%)
- 第3位 他社での選考が通過した・内定が決まった(31%)
- 第4位 求人情報や面接時の条件と齟齬があった(29%)
- 第5位 最終選考の面接官の行動や態度が悪かった(16%)
選考期間の見直しが辞退率を左右する
選考辞退理由の上位には「他社の選考が先に進んだ」という声が多く見られます。
これは、自社の選考スピードが競合他社に比べて遅れている可能性を示しています。事実、中途採用においては約90%の企業が、応募から1ヶ月以内に内定を出しています。
さらにそのうち30%は、応募から2週間以内で内定を出しているというデータもあります。選考に1ヶ月以上かかっている企業は、スケジュールの見直しが急務です。
採用予定人数が1~3名程度と少数の場合でも、2週間以内で選考を完了するスケジュール設計を目指すべきです。
面接回数の多さやスケジュール調整の遅れ、社内承認フローの煩雑さなど、ボトルネックになっている要因を明確にし、選考プロセス全体を最適化することが、辞退防止のカギとなります。
面接官の質が辞退理由になる現実
面接後の辞退理由として「面接官の態度や対応の悪さ」を挙げる求職者は約30%にも上ります。
特に部長や役員クラスの面接では「上から目線」「圧迫的な態度」といったネガティブな印象を与えてしまうケースも少なくありません。
一方で、人事担当者のみが面接を行うと「仕事内容や現場のリアルが分からない」と不安を感じさせる可能性もあります。求職者が求めているのは、現場のリアルな声と雰囲気です。現場担当者に採用の重要性を共有し、協力体制を構築することが不可欠です。
また、「面接で聞いてはいけない質問」やハラスメントのリスクについても、社内で明確にルール化し、全面周知することが求められます。
面接は評価ではなく相互理解の場
求人サイトや採用ホームページだけでは、求職者が得られる情報には限りがあります。そのため、面接や選考プロセスの中で「自社を知ってもらう」取り組みを意識的に設けることが重要です。
中途採用では時間的余裕が少ないため、選考期間中にできる限りの情報提供とコミュニケーションを行いましょう。
たとえば、面接時に社内を見学してもらう、内定後に現場担当者との面談機会を設けるなど、企業理解を深める仕掛けを組み込む企業も増えています。
採用サイトの情報も定期的に見直し、社風や業務内容、職場の雰囲気が伝わるようにコンテンツを充実させておくことも忘れてはいけません。
内定承諾後もフォローが重要
新卒採用であれば、入社までの期間を活用した事前研修や懇親会を実施することで、早期離職を防ぐ効果が期待できます。中途採用においても、内定承諾後に一切連絡を取らない放置状態はリスクです。
「内定を出したら安心」ではなく、入社までのコミュニケーションこそが辞退防止の決め手です。些細なフォローの積み重ねが、最終的に入社の決断を後押しします。
ネットの口コミ・悪評対策は正直な情報開示が鍵
選考辞退や内定辞退の背景には「ネット上の評判口コミ」が大きな影響を与えているケースがあります。
実際、面接前の辞退理由第3位に「企業の口コミ・評判が良くなかった」が挙がっており、応募前にブラック企業かどうかを見極めようとする求職者が増えていることが分かります。
このように、インターネット上でネガティブな情報が出回っていると、応募すらされない、もしくは早期に辞退されるリスクが高まります。
この課題に対して、もっとも有効なのは正直な説明と信頼感の醸成です。説明会や面接の場では、現状の課題や取り組みを積極的に開示しましょう。たとえば離職率が高い場合も、「なぜ高いのか」「どのように改善を進めているのか」といった背景をきちんと伝えることが大切です。
事実を隠したり曖昧にしたりすると、かえって不信感を生み、企業イメージがさらに悪化してしまいます。ネガティブな印象を与える情報があったとしても、自社がどう向き合っているのかを伝える姿勢そのものが、求職者の信頼獲得につながります。
関連記事:内定辞退を防ぐ!新卒採用面接官が好印象を与える対応5選
まとめ
よく採用担当者が口にする面接不合格の理由として「志望度が低い」と言葉にします。この言葉は今の売り手市場の時代には通用しません。転職希望者はホームページや採用サイトを拝見していると思いますが、それだけでどれだけの情報が得られるでしょうか。
複数の内定を得られるのが当たり前の環境の中で、積極的に自社のアピールをしないと良い人材は入社してくれません。応募者も売り手市場を背景に「条件面で妥協しない」「複数内定を得た中から、条件の良い会社を選んでいる」求職者が多いです。
志望度は相互で深めるものです。選考辞退や内定辞退の理由も最終的にはお互いのコミュニケーション不足が原因だと思います。欲しい人材に確実に入ってもらえるならばそれに越したことはありません。
業種業態にもよりますが辞退率が50%以上だと改善の余地があります。今回ご紹介した選考辞退の理由に心当たりがあったら、改善するようにしましょう!