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タイミー急成長によるアルバイト求人広告市場と市場規模の影響度
タイミーが2024年7月に上場し、2024年10月期の通期決算は売上高268億円を発表。求人広告市場に大きなインパクトを与えました。
タイミーの急成長にあたり、バイトル・インディードへの応募数減少を心配する声がありますので、求人広告代理店の立場からアルバイト求人における人材市場の動向について私の意見をまとめました。
タイミーの既存求人媒体への影響度
結論、タイミーが既存の求人媒体に与えている影響度は少ないです。
なぜならタイミーはスポットバイト(スキマバイト)という新しい働き方を提案しているメディアだからです。タイミーの仕組みは、スキマ時間で働きたい求職者と、人手が足りない企業をマッチングするスポットワークプラットフォームです。
この「スキマバイト」という働き方は従来のアルバイト市場(既存求人メディア)にはなかったため「求人シェアを奪った」のではなく「新しく作った」から影響度は少ないと考えています。
利用者も20代メインのバイトルと比較して、タイミーは30代・40代の割合が多いのが特徴です。また、ユーザーの職業はバイトルが大学生・フリーター層が中心に対して、タイミーは会社員の比率が一番多いです。
このことからユーザー層が全く異なっているため、影響度は少ないと言えます。
アルバイト求人広告市場の構造変化
一方で、タイミーの急成長は、単なる新興サービスの成功にとどまらず、アルバイト求人広告市場全体の構造に変化をもたらしています。
ディップの「スポットバイトル」、メルカリの「メルカリハロ」、シェアフルの「シェアフル」、リクルートの「タウンワークスキマ(開発中止)」など各社ともスポットバイト市場に参入しています。
即時性・柔軟性を重視する若年層のニーズに応えたビジネスモデルは、従来型の求人媒体にとって大きな脅威であり、今後は「掲載型からマッチング型」への転換がより一層求められるでしょう。
スポットバイト市場の今後の成長性
まだまだスポットバイト市場は伸びます。
現在でも「タイミー」など即時マッチング型のサービスを半信半疑で見ている企業・店舗も多く、これは裏を返せば未開拓のマーケットが広く残っていることを意味します。
特に、飲食・小売・物流など慢性的な人手不足に悩む業界では、繁閑の波に柔軟に対応できるスポットワーカーのニーズが年々高まっています。また、コロナ禍を経て非正規雇用や副業に対する社会的な許容度が高まったことで、働き手側の需要も構造的に定着しつつあります。
今後は以下の2点が成長の鍵になると考えています。
信頼性の担保と定着支援の仕組みづくり
短期就労でも安心して任せられる仕組み、たとえば評価制度や事前スキル確認などが整備されることで、スポットバイト活用をためらっていた企業も導入に踏み切りやすくなるでしょう。
地方・中小企業への浸透
都市部ではすでに一定の導入が進んでいますが、地方や中小企業にとっては、むしろ採用コスト削減と即戦力確保の両立手段としてスポットサービスは魅力的です。プラットフォーム側の営業次第で、大きな成長が見込めます。
このように、スポットバイト市場は単なる流行ではなく、労働市場の変化に適応した持続的成長領域として注目されています。
企業が陥りがちな誤解と今後の競争環境
採用の専門家として企業側には安易にスポットバイトはおすすめしていません。
たとえば「時給を100円上げるだけで採用できる企業」や「毎日違うワーカーを受け入れる体制が整っていない店舗」は、無理にスポットバイトを活用するよりも、従来型の採用手法や勤務体制の見直しを優先すべきです。
もちろん、一度試してみること自体は有効ですが、「やれば何とかなる」という感覚で導入すると、むしろオペレーションが混乱し、離職率や口コミ悪化につながるケースも見られます。
スポットバイトは「魔法の採用手法」ではありません。
スポット採用は、業務の平準化・マニュアル整備・現場教育体制など、受け入れ側の準備があって初めて成立する仕組みです。これを怠ると「人は来たけど使えなかった」「常連スタッフの不満が増えた」など、副作用の方が大きくなることもあります。
今後は、スポットバイトアプリ内でも企業間競争が激化し、「応募される企業」と「応募されない企業」の二極化が進むと予想されます。実際、既に一部のアプリでは、ワーカーがレビューや体験談を元に企業を選ぶ時代に突入しています。
したがって企業側は、「なぜ応募が来ないのか」「現場が選ばれない理由は何か」といった要因をきちんと分析・改善しなければ、プラットフォーム上で埋もれる存在になってしまうでしょう。
まとめ
今後さらに働き方も多様化し、また新しいサービスが生まれると思いますし、AI(人工知能)関連の仕事の増加、逆にAIに代替される仕事も起こりうります。
2025年のアルバイト求人における人材市場の動向は、スポットバイトルがどのように追い上げるか、インディードプラスへの移行がどのように影響をもたらすかも目が離せません。
今後も市場規模の拡大とともに、求人業界各社がどのような対応を取るのかが注目されます。
参照:スキマバイトサービス「タイミー」累計ワーカー数400万人を突破