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顔採用は本当に存在する?採用現場の本音とルッキズムの実態
就職活動の話題になると、必ずと言っていいほど出てくるのが「顔採用」という言葉です。ルッキズム(外見至上主義)への批判が強まる一方で「実際、見た目が評価に影響する場面はある」という現場の声も根強くあります。
では本当に、企業(面接官)は“顔”だけで人を選んでいるのでしょうか。採用現場と求職者の両方を見てきたキャリアアドバイザーの立場から、このテーマを少し整理してみたいと思います。
目次
顔採用という言葉が少しズレている理由
コジマ氏は、顔が良いことを「1つのスキル」と捉えており、そのメリットは売上だけではなく、入社後の教育現場にも波及すると主張する。「顔採用の方々がすごく活躍してきたシーンもかなり見てきたし、1つのスキルとしてすごく重要。人事をやっていると採用した後がなかなか関われず、後は現場に任せっきりにもなるが、顔のいい方だと先輩社員も乗り気で積極的に教えてくれたり、優しく接してくれて現場が動いてくれる」と、他の社員にも好影響が出るとした。
参照:「顔採用」いまだ存在?採用担当者の“本音”とルッキズムの境界線 研究者は「顔というよりコミュ力採用」「面接官は似た人を選びがち」(ABEMA TIMES) – Yahoo!ニュース
正直なところ、「顔採用」という言葉は、実際に起きていることを少し大雑把に表している印象があります。
現場でよく起きているのは、顔立ちそのものよりも、第一印象や表情、雰囲気、話しやすさといった“空気感”が評価に影響しているというケースです。
研究者が指摘している通り、表情や振る舞いはコミュニケーションの一部です。それらがまとめて「顔」と表現されてしまうことで、「努力ではどうにもならない要素で評価された」と感じてしまう人が出てきます。
なぜ販売職・営業職では「顔」が話題になりやすいのか
番組内では、販売職では「見た目が成績に直結する」という採用担当者の声も紹介されていました。これも、現場を見ていると理解できる部分はあります。
ただし、ここで言われている「見た目」は、単なる美しさやかっこよさではありません。清潔感、表情の柔らかさ、声のトーン、相手の話を聞く姿勢などが合わさって、「感じがいい」「信頼できそう」という印象になる。
面接は短時間です。その中で職務適性を判断しようとすると、どうしても目に見えやすい要素に評価が寄りやすくなる。これが「顔採用」と言われる現象の正体に近いと感じます。
「顔採用だったよね」という一言の重さ
番組で紹介されていた、「顔採用だったよね」と上司から言われた20代女性のエピソードは、顔採用という言葉が個人に与える影響の大きさを象徴しています。
本人は入念に準備を重ね、面接や選考を突破したという確かな手応えがあったにもかかわらず、その努力や能力が「見た目だけで評価された」と受け取られてしまったのです。
これは採用の是非以前に、人事評価やマネジメントにおける言語化の問題と言えます。キャリア相談の現場でも、「あの一言がずっと頭から離れない」「自分の実力を否定された気がした」という声は少なくありません。
成果を出している社員に対して、「顔が良かったから採用された」「顔採用だった」と説明してしまう組織は、評価基準や育成方針が十分に整理されていないケースが多い印象です。
面接官も「無意識のバイアス」からは逃れられない
研究者が語っていた「面接官は自分に似た人を選びがち」という話も、かなり現実的です。
面接でよく聞く「なんとなくウチに合いそう」という言葉。その裏には、能力だけでなく、話しやすさや安心感が影響していることが多い。これは悪意というより、人間として自然な反応です。
ただ、この感覚だけに頼ってしまうと、気づかないうちに似たタイプばかりを集めてしまい、組織の幅が狭くなってしまいます。
求職者はどう向き合えばいいのか
求職者にまず伝えたいのは、見た目に関するバイアスは確かに存在するものの、顔立ちだけで面接の合否や採用結果が決まるわけではないという点です。
実際の採用現場では、表情や姿勢、話し方、言葉の選び方といった第一印象を構成する要素が、コミュニケーション能力として評価されるケースが多く見られます。
キャリア相談の現場でも、こうしたポイントを意識して整えただけで、面接の評価が大きく変わった例を何度も見てきました。「顔採用が怖い」と不安を抱えるよりも、面接でどう見られているか、第一印象をどう設計するかという視点で準備を進めるほうが、現実的で前向きな就職活動につながります。
企業側に求められる視点のアップデート
番組内で語られていた「採用側の多様性を高めるべき」という意見には、キャリア支援の立場からも強く共感します。採用に関わる人が特定の属性や価値観に偏っていると、無意識のうちに評価基準も似通い、「顔採用」「雰囲気採用」と受け取られやすい判断が生まれてしまいます。
複数の立場や年代、性別の視点を選考プロセスに取り入れることは、ルッキズム対策であると同時に、採用ミスマッチを防ぎ、採用精度を高めるための実務的な工夫でもあります。多様な視点で評価する体制を整えることが、結果として企業と求職者の双方にとって納得感のある採用につながります。
まとめ|「顔採用があるか」より大切なこと
「顔採用はあるのか、ないのか」という問いだけでは、少しもったいない気がします。本当に考えるべきなのは、なぜそう感じてしまう採用の仕組みになっているのかという点です。
求職者は現実を知ったうえで準備をし、企業は無意識のバイアスがある前提で制度を整える。その両方が進んでいけば、もっと納得感のある採用とキャリア選択が増えていくはずです。

