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不道徳な求職者が優良な転職エージェントを壊滅させる話
雑記・日記・備忘録大手と呼ばれる転職エージェントの弱みとしてよく挙げられるのが「サポートの薄さ」です。
求人票を何十枚もまとめて渡されて、あとは応募の事務処理だけ。そんな機械的な対応にガッカリした…という評判や口コミを見かけたことがある方も多いと思います。
「もっと親身に相談してくれる転職エージェントはいないのか?」そんな不満の声もよく耳にします。でも実は、そうした親身なエージェントを減らしているのは、他でもない求職者自身だったりするのです。
小さな転職エージェントの悲鳴
小さな会社ながら丁寧なサポートで評判になっている転職エージェント(キャリアアドバイザー)がいます。自己分析や面接対策までしっかり寄り添ってくれるタイプで、相談した人からの評価も高い。
ところが最近、その方が「自己分析や面接対策のサポートを縮小しようかと思っている」と話していました。理由を聞いてみると、衝撃的な答えが返ってきました。
せっかく時間をかけて自己分析や面接対策をしても、結局はリクルートやパソナ、マイナビといった大手経由で転職してしまう人が多いのだそうです。
タダ乗り求職者の罪
もちろん、求職者がどのエージェントを使うかは自由です。無料だし、複数登録するのも賢い選択です。でも「面接対策サポートだけもらって、大手で転職しました~」っていうのは、冷静に考えれば立派な“ただ乗り”ですよね。
これが蔓延するとどうなるか?
小回りが利く優良エージェントは利益を出せずに撤退。結果的に、求職者は「大手の事務処理マシーン」しか選べなくなるんです。親身に相談できるエージェントを自らの手で駆逐しているという、なんとも皮肉な話。
ビジネスはボランティアじゃない
会社組織である以上、利益をださなくてはいけません。
転職エージェントの場合は求職者が入社した際の紹介手数料で稼ぎますので、大前提として求職者が自社経由で転職活動をしてくれることを想定したサポートです。この会社も決してボランティアで求職者の相談に乗っているわけではありません。
そのエージェントさんは「案件数で負けているうちが悪いんですけどね」と謙虚な姿勢でしたが、なんとも世知辛い世の中だなと思いました。
結論:求職者がエージェントを絶滅させる
結論として、親身なエージェントが減少する背景には「大手の横暴」や「制度上の問題」だけでなく、求職者側の行動パターンも大きく影響しています。
支援を受けるだけ受けて他社で転職する「ただ乗り」が常態化すれば、中小の良質なエージェントは収益を確保できず撤退を余儀なくされます。
つまり、求職者自身が「良いエージェントを自ら絶滅に追いやる構造」を生み出しているのです。
人材紹介業界にとっては決して表に出しにくいテーマですが、利用者がこの現実を理解することは、転職市場全体の健全性を守るためにも欠かせない視点だと思います。