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求人媒体の多言語対応サービス3つの問題
求人広告・求人媒体昨年末からある企業とご縁があり外国人採用ビジネスに携わっています。携わっている中で気になったのが年間39万人(2015年)が海外から日本に移住してきており多くは日本で仕事を探しているのに、日本の求人媒体が転職・アルバイトに関係なく大手は多言語化していない点です。
昨年末時点では求人媒体の将来的なトレンドとして英語・中国語・韓国語・ベトナム語など様々な言語に対応していくだろう(していくべきだろう)と考えていましたが、最近は多言語対応すべきではないと考えるようになりました。その理由をまとめました。
理由1:応募の質の低下
外国人雇用で一番の課題がコミュニケーション能力です。多言語対応すれば確実に媒体の応募数は増えるでしょう。しかし、日本語が下手なユーザーが母国語で募集要項を見て応募しても結局は採用されません。
外国人雇用をする気がない企業にとって外国人ばかり応募されても満足度が下がるだけです。求人媒体の多言語対応は、サイト全体の応募の質の低下を招く可能性があります。
理由2:外国人を歓迎している企業はまだ少数
多言語化したところで外国人を歓迎している募集企業が少なければ意味がありません。マイナビバイトで調べたところ東京都で約44000件の案件に対して「留学生歓迎」で絞り込むと約4400件(10%)が該当しました。
そこそこ多いように感じるかもしれませんが、表示されている案件で積極的に募集している企業は少ないです。実際に「留学生歓迎」で表示された募集案件を見ても必須スキルにどの程度の日本語レベルが必要なのかを書いている企業はほとんどいませんでした。
また「日本人と同等レベルの日本語が喋れることが必須」といった高い採用ハードルを設定している企業も多いです。流暢に話せるかどうかが採用基準になっているため日本語レベルN1(日本語能力試験の最高峰)を持っている子でも不採用になります。
いわゆるボリュームゾーンである日本語レベルN3~N4レベルの日本語が下手な外国人留学生でも雇用する企業は感覚値ですが全体の1%前後です。
理由3:翻訳できない日本の求人原稿
日本の求人原稿は和製英語が多く、日本独自の文化が多く含まれているため翻訳できない部分が多いです。
例えば仕事内容でよく書かれている「いらっしゃいませと元気よく接客してください」の「いらっしゃいませ」は日本語独特の表現になります。直訳するとウェルカムになりますが、英語圏ではお店に入ってきた人にウェルカムとは言いません。
国によって文化・宗教が違うのも意識しなければいけません。例えばトイレ清掃と言っても国によっては水洗式ではない国もありますし、便座の形が違い過ぎて混乱する外国人の方もいると思います。このように文章をただ翻訳すればいいという問題ではありません。
グーグル翻訳など無料で利用できる自動翻訳ツールもありますが、いまだ精度は低く原文の意味とは異なる意味になってしまいます。求人広告で自動翻訳ツールの利用だけは絶対に止めておいたほうがいいです。
番外編:応募画面の設計問題
応募画面も設計変更しなければいけません。例えば応募画面も苗字と名前の入力項目が分かれている日本人向けの設計の求人サイトは、ミドルネームを考慮した設計に変更する必要があります。
仮に苗字と名前の入力項目が同じ場合でも企業からは「管理上の都合で苗字と名前を分けたいが、外国人の場合は境目がよくわからない。応募ページで分けて応募させてほしい」といった要望も発生するでしょう。
まとめ
深刻な人手不足と言われていますが(一部の企業を除き)雇用側は外国人留学生採用については慎重な姿勢を見せているのが現状です。雇用側の意識改革がおこなわなければ求人媒体の多言語化は時期尚早と言えるでしょう。
マスコミでも技能実習や特定技能について連日報道されていますが、日本はすでに外国人留学生という名の出稼ぎ労働者はかなりの数がいます。いまのところ特定の業種だけ就労を認めていますが、その業種も撤廃してどこでも働けるようになればいいと思います。
当社では外国人採用について興味を持っている企業様をお待ちしております。