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株式会社DYMが誇大広告で行政処分の千思万考
雑記・日記・備忘録22年4月、就職支援サービスを展開している株式会社DYM(東京都品川区 代表取締役社長:水谷佑毅)が消費者庁からアフィリエイト広告などで景品表示法違反(優良誤認)があったとして措置命令を出されました。
同社は新卒紹介事業や、日本最大の就活イベント「ミーツカンパニー 」を運営している会社です。その他に「内定チャンネル」も運営しています。
ついに人材系から景品表示法違反の企業がでたか!?と驚きとともに色々と思うところがありましたので、まとめたいと思います。
人材系で初の景品表示法違反
これまでは金融商品やサプリメントといったダイエット食品が景品表示法違反のターゲットでした。「絶対に儲かる」「5日で5キロ減」など過剰な謳い文句や嘘の宣伝をしている商品サービスが摘発されていましたが、ついに人材業界にもメスが入りました。
今回を機会に、過去に人材業界の企業が景品表示法違反になっていないか消費者庁の公表資料を確認しましたが、見つけることができなかったため、人材系企業が景品表示法違反をもらうのは初めてのケースだと言えます(違っていたら教えてください)。
就職・転職関連は景品表示法違反の対象にならない(なりづらい)という認識をしていた方々も多かったので、驚かれたのではないでしょうか。
私個人としては、DYMがアピールしていた「相談からの就職率驚異の96%」は前々からヤバいなと思っていました。就職・転職支援ビジネスを少しでもかじったことがある人なら絶対に嘘の数字であることは明白だからです。
人材業界に携わったことがない人でも、ピンキリの相談者、本人の実績スキル、希望業界や希望職種、内定承諾率の問題を考慮すれば、間違っても96%なんて数字になるわけがないことがわかります。
今後の人材系ターゲット企業
一部の会社で「バレなきゃいい」という風潮があり、人材業界も倫理観が低い会社も多く、おとり広告(嘘求人)を駆使して求職者を集めたり、自社サービスを過剰に宣伝しているところもあります。
DYMも「就職率96%と言いながら実際は15%」「書類選考無しと言いながら実際は一部あった」「イベント参加企業数の水増し申告」「保有求人数の水増し」など数々の悪事がバレてしまいましたが、同じようなことをしている企業も消費者庁から目をつけられていくかもしれません。
多くの会社が対象外
とはいえ今回の件は「売上141億円を誇る会社」「アフィリエイトで集客」「いくつも過大な嘘をついていた」というスリーセブンが揃っていたことも大きな要因だと思っています。実際にDYMクラスの会社で、アフィリエイト集客している会社がまず少ない。
過去の行政指導の事例から見ても日本マクドナルド、セブンイレブン、ジャパネットたかた、イトーヨーカ堂、ガンホー・オンライン、イオン銀行、サンドラッグが景品表示法違反の措置命令事業者として名前が挙がっています。
大手企業が目を付けられやすい傾向にあるようです。※どこも誇大広告してるんですね(^_^;)
DYMに対する処分の甘さ
今回、消費者庁はDYMに対して課徴金納付命令は出ず、措置命令(広告表示の停止、再発防止策の実施)だけです。金銭的なペナルティはありませんでした。これには「この程度なんだ」と思いました。
この程度で済むなら「ドンドンやろう。怒られたら修正すればいいだけだし」と考える企業もいそうだなと。免許剥奪でもしなければ抑止力にならないと思います。
人事側のスタンス
ある記事では「DYMのブランドイメージが大きく下がる」「取引停止のリスク」と書かれていましたが、取引企業の人事側の立場や役割を考えると取引停止にならないと思います。
人事側からすれば集客方法を気にする方は少なく、「紹介してくれればいい」と思うからです。DYM社は2016年にも社員旅行中でのタイ全裸事件など不祥事を起こしていますが、売上的にはノーダメージだったことが証明されています。
DYM新卒紹介サービスは2018年、2019年に2年連続オリコン顧客満足度ランキング1位を獲得。リクナビ就職エージェントやマイナビ新卒紹介、キャリタス就活エージェントを抑えての1位ですから、相当信頼されていることがわかります。
採用担当にとってオトリ広告を使ってまで大量に集客してくれるDYMは優良業者に見えるでしょう。採用担当にとって目標採用人数を下回ると自身の社内評価が下がるだけなので「今後も人材を紹介してくれれば気にしない」方が多いと考えられます。
違法なことをバンバンやってでも勝てばいいんだという人たちが横行する時代にならないといいですね。
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