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意識高い系マーケ志望大学生の共通点と問題点
雑記・日記・備忘録少し前に『意識高い系』という言葉が流行りました。意識高い系社会人や意識高い系学生など。自己顕示欲と承認欲求が強く、自分を過剰に演出するが中身が伴っていない人を意味します。
以前に「ライフネット生命岩瀬社長のインターン名刺入力事件から考える相互理解」という記事を書きました。仮に岩瀬大輔社長(現在は退任)が、マーケティング部でインターンさせてあげるという憧れ状態を提供していたとしても、今度はそれで満足してしまうので、実績は出さなかっただろうと思います。
意識高い系の人は「将来の夢は起業することです」と言いますが、滑稽と言われてしまうのは起業が数値目標ではなく、憧れ状態だからです。憧れ状態を、目標と言ってしまうから、こういう学生や社会人は滑稽に映ってしまいます。
こういうインターン学生の特徴と問題点をまとめます。
①状態と目標の混同
数値目標ではなく、自分のなりたいあこがれの状態を目標にしてしまう。
②プロセスへの無関心
憧れ状態が目標なので、それが最初に手に入らないと不満である。途中のプロセスに対する興味が無い。つまり、経験を積んだり実績を残したりすること自体に興味を持てない。
③実現手段の欠如
経験を積んだり実績を残すプロセスに興味をもてないため、どうやって目標を実現するのかについては何も考えていない。
例えば、マーケティングのインターンがしたいと言ってくる学生に、マーケティングに対してアイデアや提案があるのかと聞いてみると、それがまったくありません。でもマーケティングの仕事がしたいと言います。
こういう学生が多いので「どういうこと?」と理解不能でしたが、①②を踏まえれば、なぜこういう思考になってしまうのかは、合点が行くようになりました。
岩瀬さんにインターンを申し込んで、名刺整理をやらされブチ切れた学生のメンタリティをみて、典型的な意識の高い(笑)学生そのものだと思いました。
就職・転職の失敗の原因は状態の目的化
この「状態を目的化してしまっている」学生・転職者の方は結構多いです。
こうした考え方の方がなぜ就職・転職後にミスマッチや失敗してしまうのか理由が言語化できてスッキリしたため、改めて、就職・転職市場に置き換えて考察してみたいと思います。
就職・転職時に以下のような事を希望する方は意識高い系予備軍です。
- 将来起業したい
- とにかく年収を上げたい
- 企画やマーケティングの仕事をしたい
- 営業が嫌だから事務など他の職種に就きたい
- スポーツ・エンタメ領域のビジネスに関わりたい
- 安定した大手企業・知名度の高い有名企業に入りたい
- ファッションや美容など女性憧れの分野を仕事にしたい
その際に、私は以下のような質問をします。
- 大手企業とはいえ、具体的にどのような業界や職種?それはなぜですか?
- 企画やマーケティングとはいえ、何の商材の?企画・マーケのどの工程?それはなぜですか?
- 将来起業したいにしても、いつ頃?どのような規模感?どんな業界・業態で?なぜ起業したいのですか?そのためにどんな努力を現状していますか?もしくは、これからしていこうと考えていますか?
このような質問をさせていただくと、皆さん口を揃えて「まだ自分でも考えが整理できておらず、漠然としているのですが・・」とおっしゃります。経験則上そのままの考え方だと、いつまで経っても思考停止していて、漠然としたままだと思います。
例えばですが、なぜ、いわゆる安定した大手企業にいる人達は、今そこに在籍していられるのでしょうか?安定したくて、大手企業に入社したのでしょうか?
単純に、その大手企業にとってメリットがある、入社を求められる経験・スキルや動機付け・マインドがあるからではないでしょうか。こうしたプロセスや手段に対する視点を持っている人が非常に少ないです。
すべての結果には結果を作っている原因がある
物事には必ず結果を作っている原因があります。皆さん結果にフォーカスし過ぎてしまい、そこに行きつくための原因や手段・プロセスをおざなりにされがちです。
また、実際にそうした結果を手に入れるための手段・プロセスを知ると、「とてもそこまでは頑張れないわ・・」とか「思っていたのと違った」と諦めてしまう場合がほとんどです。
とても一筋縄ではいかないからこそ、皆さんが憧れるような結果を、数少ない人のみが実現しているのです。だからこそ、憧れるのですよね。
ただ「自分だけ努力やプロセスをショートカットして憧れの結果だけ欲しい!」というのは傲慢で都合が良すぎる話ですよね。
すべての物事はトレードオフである
そうした憧れの状態や結果そのものさえも、実はトレードオフな状態が隠されており、端から見ると憧れる華やかな職業や会社でも、裏返すと別の部分に課題や大変さがセットになっている事がほとんどです。
例えば、大手企業で高年収な企業でも、裏側ではものすごい過酷な労働をしているといった実態があります。(誰もが知っている超巨大企業の高年収ビジネスマンも話を聞いてみると過労死レベルの激務です)
高年収は会社に入ると勝手についてくるのではなく、過酷な労働や、日々求められる高い成果を、乗り越えている対価に過ぎないのです。そもそも人間は「耐える」といったメンタリティだと長くは続かないですよね。
「高年収を得るために過酷労働に耐える」といった順番ではなく、「自分には過酷労働してでも、実現したい〇〇がある!」といった方は、入社後に、実現したい事のために過酷労働は全く気にならず、むしろ歓迎!といったスタンスで高い成果を上げていくので、結果として高年収もセットで付いてきているのが現実です。
昔話の花咲爺さんに登場する欲深い隣人夫婦のような「隣のあいつがあんな良い思いしたなら自分も」といった隣の芝生感覚で、表層部分だけを真似したとしても、実際やってみると思った以上に過酷な環境に根をあげてしまうか、着手している事や自分の姿自体が目的・ゴールとなってしまうために、同じような熱量や努力ができず、そのために同じ結果にはならない事がとても多いです。
リスクとリターン。結局は価値観次第
リスクとリターンという言葉がありますね。
求めるリターンを本当に取りたいのであれば、必ずリスクもセットで付いてくる事を常に覚悟した上で、積極的にリスクを取りに行くスタンスが必要という事だと思います。
そう考えると、得たいリターンは誰にとってもMUST(絶対に実現したい)までいかなくても、WANT(あったらいいな)であり一般論化しがちですが、逆に、それにセットで付いてくるリスクを積極的に取りたいと思えるか否かの部分に、その人それぞれの価値観が隠れているような気がします。
そうした価値観をベースに、それが自分が本当にしたい事なのか?を検証してみると良いかと思います。