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ダイレクトリクルーティングのメリット・デメリット・注意点
ダイレクトリクルーティングの導入を検討している採用担当者に向けて、実際に取り入れてわかったメリット・デメリット、導入時に注意すべきポイントをわかりやすくまとめました。
目次
ダイレクトリクルーティングとは
ダイレクトリクルーティングとは、SNSや人材データベースなどを活用し、企業が自ら採用候補者に直接アプローチする採用手法です。ダイレクト・ソーシングと呼ばれることもあります。
転職エージェントなどの仲介サービスを介さず、企業が主体となって人材を探し、直接アプローチする点が大きな特徴です。この手法の中でも、FacebookなどのSNSを活用した採用活動はソーシャルリクルーティングと呼ばれています。
近年の採用難を背景に、求人広告や人材紹介会社の推薦を「待つだけ」の従来型の採用では成果が出にくくなってきました。そのため、より能動的な「攻めの採用手法」として、ダイレクトリクルーティングは徐々に浸透しつつあります。
経営者や採用担当者が自ら候補者を見つけてアプローチするこの手法は、従来の「待ちの採用」とは大きく異なります。しかし、流行に乗って見よう見まねで始めると、思わぬ苦労を招くことも。
そこで本記事では、導入前に知っておきたいダイレクトリクルーティングのメリット・デメリット・注意点をわかりやすく解説します。
ダイレクトリクルーティングの概念と歴史
ダイレクトリクルーティングとは、企業が転職エージェントなどの仲介を介さず、候補者に直接アプローチして採用を行う手法の総称です。近年ではスカウトメールの活用が中心的な手段となっており、ダイレクトソーシングとも呼ばれています。
スカウトメール機能自体は10年以上前から大手転職サイトで導入されており、従来から存在する機能です。ただし、近年は「待ちの採用」から「攻めの採用」へと企業のスタンスが変化しており、この機能を戦略的に活用する企業が増えたことで、「ダイレクトリクルーティング」という言葉が改めて注目されるようになりました。
本来、海外、特にアメリカなどではLinkedInなどのビジネスSNSを通じて、職務経歴を公開している候補者に企業が直接コンタクトを取るヘッドハンティングに近いスタイルが一般的です。しかし、日本ではLinkedInなどのビジネスSNSが十分に普及しておらず、オープンに経歴を公開している人材も限られています。
さらに、日本のビジネス文化においては、自らの職務経歴を積極的に公開することに抵抗を感じる人も少なくありません。そのため、日本におけるダイレクトリクルーティングは、転職サイトやスカウト型求人サービスに登録されたユーザーに対して、スカウトメールなどを用いてアプローチする形が主流となっています。
ダイレクトリクルーティング注意点
「採用費が安い」と言われるが注意が必要
ダイレクトリクルーティングは、上手に活用すれば人材紹介会社を利用するよりも採用コスト(採用単価)を抑えられる可能性があります。特に、複数名の採用を予定している場合や、自社に採用ノウハウがある場合には費用対効果が高くなる傾向があります。
しかし、すべてのケースでコストメリットが出るとは限りません。多くのサービスでは、半年単位での掲載費用やデータベース使用料が発生する定額制を採用しており、採用に至らなかった場合でも費用は発生します。これに対して人材紹介会社は成功報酬型であるため、「採用できなければ費用もゼロ」という点では安心感があります。
そのため、自社の採用力やリソース、採用難易度を冷静に見極めたうえで、費用対効果を検討することが重要です。
「転職潜在層に出会える」と言われるが現実は厳しい
ダイレクトリクルーティングは「転職市場に出てこない転職潜在層にアプローチできる手段」として注目されがちですが、日本の採用市場ではこの点にも注意が必要です。
日本国内で主流のダイレクトリクルーティングサービスは、基本的に転職サイトの登録データベースを活用したモデルです。そのため、登録している人の多くは、実際には転職活動中または転職意思のある顕在層であり、「本格的に動いていない潜在層」に接触できる機会は限られています。
さらに、人気の高い職種や優秀な人材は、他社からのスカウトも多数届いており、サービス内では優秀人材の奪い合いが常態化しています。そのため、送ったスカウトが埋もれたり、返信率が極端に低くなったりするケースも少なくありません。
また、仮に転職潜在層にアプローチできたとしても、彼らを動かすには長期的な関係構築や魅力づけが必要です。数ヶ月〜数年単位でのフォローアップや情報提供を前提に、丁寧に口説く姿勢が求められます。したがって、急募ポジションや短期間での採用決定を目的とする場合には不向きです。
ダイレクトリクルーティング成功のために必要な3つのポイント
会社やサービスに口説けるだけの魅力があるかがカギ
ダイレクトリクルーティングの成功には、求職者にとって魅力的な企業であることが大前提です。
知名度や業界シェア、独自性のあるプロダクトやサービスなど、候補者が「この会社に興味がある」と思える明確な材料がなければ、アプローチしても振り向いてもらえません。
また、給与・待遇が市場相場より著しく低い場合、どれだけ熱心に口説いても候補者の心を動かすのは難しいでしょう。仮に自社に魅力があるとしても、それが求職者にしっかり伝わっているかを確認する必要があります。
特に、ホームページや採用サイトの情報設計が重要です。会社の事業内容、サービスの強み、働くメンバーの雰囲気、経営者のメッセージなどが視覚的かつ具体的に伝わる設計になっているかを見直しましょう。
単に福利厚生を並べるだけではなく、「この会社で働いてみたい」と思わせるストーリーや空気感の演出が、スカウトの返信率にも大きく影響します。
専任の採用体制がないと機能しない
ダイレクトリクルーティングは「求人を出して応募を待つだけ」の受け身型採用と違い、企業側が能動的に人材を探し、継続的にアプローチする必要があります。そのため、時間と労力がかかることが最大のデメリットとも言えます。
採用業務を総務部門などが他業務と兼任して対応している場合、ダイレクトリクルーティングのような地道な活動は後回しにされがちです。特に、候補者へのスカウト配信や対応、面談調整など、毎週のように発生する作業を放置すると成果に直結しません。
成功させるには、専任の採用担当者の配置が理想です。最低でも1名、できれば採用チームとして体制を整えることが望ましいでしょう。
専任担当が難しい場合は、週1日から業務委託できる外部の採用コンサルタントやフリーランスの活用も選択肢の一つです。必要な時期に応じた柔軟な支援体制を作ることで、負荷を分散できます。
採用ノウハウがなければ効果は出にくい
ダイレクトリクルーティングは「スカウトを送れば終わり」ではなく、戦略的かつ多面的な採用スキルが求められる手法です。成功のためには以下のようなノウハウが欠かせません。
- ターゲット設定や母集団形成に関する知識(採用広報力)
- 候補者を見極める目や人脈、業界の相場感
- スカウト文面を魅力的に書くライティング力
- 面談でのクロージングや魅力づけの営業力
また、求職者は複数の企業からスカウトを受け取っているため、他社との差別化ポイントや競合との比較情報も準備しておく必要があります。
採用に慣れていない企業がゼロからこうしたノウハウを蓄積するには時間がかかります。特に「いますぐ人が欲しい」という短期的な採用ニーズが強い中小企業にとっては、ダイレクトリクルーティングはややハードルが高い手法とも言えるでしょう。
ダイレクトリクルーティングサービス比較一覧
中途採用
- ビズリーチ(株式会社ビズリーチ)
- キャリアトレック(株式会社ビズリーチ)※2022年12月サービス終了
- DODA Recruiters(パーソルキャリア株式会社)
- ミイダス(パーソルキャリア株式会社)
- リクナビNEXTプロジェクト(株式会社リクルートキャリア)※2017年1月サービス終了
- Wantedly(ウォンテッドリー株式会社)
- タレントベース( 株式会社アトラエ)※2018年3月サービス終了
- Green(株式会社アトラエ)
- LinkedIn:(LinkedIn)
他にもスカウトメール機能がある転職サイトは多いです。
新卒採用
- オファーボックス(株式会社i-plug)
- ニクリーチ(株式会社ビズリーチ)※2020年7月サービス終了
- ジョブラス新卒(株式会社アイデム)※2024年9月サービス終了
- iroots(アイルーツ)(エン・ジャパン株式会社)
新卒採用系サービスはそこまで多くありません。日本は新卒一括採用とも呼ばれ、潜在層へのアプローチは当てはまりません。リクナビやマイナビといった就活サイトもオプション料金でスカウトメールが利用できます。
新卒採用では学内セミナーや合同説明会、会社説明会、選考会といった流れが一般的ですが、新卒の人材紹介もメジャーな採用法になってきましたが、ナビサイトとの同時進行を考えるとかなり負担が大きいのが短所です。
ダイレクトリクルーティングまとめ
ダイレクトリクルーティングは採用費用を抑えられる可能性があるものの、人事部の運用負担も大きく失敗事例も多いです。
今回紹介した注意点が「ハードル高いな」「ちょっと無理だな」と感じたら素直に求人媒体と人材紹介を利用したほうがいいです。
ダイレクトリクルーティングやリファラル採用の成功事例で紹介されている企業はテレビCMをおこなっている上場企業や有名スタートアップ企業が中心です。
様々な採用手法がありますが、中小企業には導入ハードルが高い部分もありますので、導入する前に慎重に検討してほしいと思います。