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求人サイト開発・立ち上げの注意点と失敗事例7選
求人ポータルサイト事業は、人材業界の中でも比較的新規参入しやすいビジネスモデルとして注目されています。人材派遣や人材紹介と異なり、資格や免許が不要で、個人事業主(フリーランス)でも開業できるのが大きなメリットです。
しかし、安易に参入して求人サイト開発・運営で失敗した企業を数多く見てきました。黒字化できずに早期撤退するケースも少なくありません。
本記事では、求人サイト立ち上げでよくある7つの失敗事例と、その背景・原因を具体的に解説します。これから求人サイトを始める方や、既存運営を改善したい企業にとって、失敗を回避するためのチェックリストとして活用できる内容です。
目次
失敗事例①損得勘定だけで求人サイトに新規参入し失敗
儲かるからという理由で新規参入した企業は、大体は1年で撤退していきました。
人材ビジネスは市場が大きく、ディップ株式会社やエン・ジャパン株式会社のように高い経常利益を誇る会社は株式市場からも注目されています。そうした求人サイト運営の特徴に着目し、参入を決める会社もいます。
そんな「儲かるから」「ウェブ領域は得意だから」という理由で始めた企業の多くが上手くいかないとスグに求人サイトを閉鎖して撤退していきました。上場企業でもこの点で失敗しています。企業としては赤字事業の早期撤退は健全な考え方ですが、求人サイト事業との相性が悪いです。
求人サイトが業界内の知名度を獲得するのに3年かかります。つまり黒字化するには最低3年かかります。3年間辛抱できずに撤退する企業が多いです。
採用担当者は聞いたこともない無名の求人サイトに広告出稿するほどバカではありません。商談では必ずと言っていいほど採用実績や応募実績を聞かれるため、実績のない新規サイトは弱い立場にあります。そうしたハードルを乗り越え、コツコツと地道に営業活動を続けたとしても知名度を獲得するのに3年ほどかかります。
関連記事:終了・閉鎖・売却した求人情報サイトまとめ
失敗事例②経験者不在で求人サイト開発を始めた結果の失敗
事業部に誰も求人広告の経験者がいない組織は失敗しています。
経営者または事業責任者に求人広告出身者がいればいいですが、最低でも外部に経験豊富な専門家が必要不可欠です。サイト設計・メディア運営・広告制作は素人だけでは運営は難しいです。
飲食店なら飲食店コンサルタントに依頼してメニュー表作成、外観、広告戦略、営業戦略など決めますよね。求人サイトは簡単に始められるため素人だけで始めようとする企業が多いですが、初心者だけで始めても成功率は極めて低いと言えます。
コンサルタントも求人サイト未経験で誤ったアドバイス
課題を洗い出してアドバイスが役割のコンサルタントですが、外部アドバイザーも求人サイトをやったことがない素人と契約している企業もいます。
往々にして「他分野で成功または他分野を得意としている人」であることが多いです。ヒアリングしてみると求人サイトの立ち上げ経験どころか人材業界出身でもないケースがあります。
なおコンサルタントの中には1の実績を10倍にして話す方もいるので企業側が騙されている場合もあります。ちなみに同じ人材業界とはいえ人材派遣や人材紹介の経験はビジネスモデルが全く違うため参考になりません。
失敗事例③広告戦略ミスと予算配分の失敗で集客できない求人サイト
求人サイト運営で失敗する大きな原因のひとつが、広告戦略の誤りと予算配分のミスです。
特にSEO対策やWeb広告への理解不足、効果の薄いプロモーション手法への偏重は、集客を著しく阻害します。短期間で成果を求め、的外れな投資を繰り返すと、リリースから数年経っても応募が集まらない状態に陥ります。
オウンドメディアを素人運営してアクセスゼロ
求人サイトの集客にはオウンドメディア活用が欠かせませんが、戦略やSEO知識のないままアルバイト任せで運営した結果、150万円かけて記事を量産してもアクセス数はゼロに近いという事例があります。
公開当初からアクセス解析すら行わず、Googleから低品質コンテンツと判断されてしまったのです。当社が改修した後、2か月で月間500アクセスにまで改善できましたが、最初の設計段階でのミスは大きなロスとなります。
広告宣伝カーに偏重して費用対効果が低下
サイトリリース直後なら本来はサイト改善とウェブ広告に集中投資すべきですが、広告宣伝カーを使ったプロモーションを大々的に展開。広告宣伝カーは様々な企業が活用している宣伝手法ですが、費用対効果は高くありません。
予算が余っているなら宣伝カーやイベント会社とのタイアップ企画も有効ですが、宣伝カーへの広告投資に固執する経営者によって本来の広告予算が無くなってしまいました。経営者は「やっている感が強い」アナログな宣伝手法を好む傾向にありますが、費用対効果ではウエブプロモーションが一番です。
SEO対策・Web広告の知識不足
異業種から求人サイトに参入する企業の中には、「SEO」という言葉すら知らない経営者も少なくありません。ですが、応募獲得や企業集客の大半はインターネット検索経由です。
SEOやリスティング広告の重要性を理解しないままでは、適切な予算配分はできません。経営層が知識を持たない場合、外部の専門家の意見を取り入れる体制が不可欠です。
人材業界知識のない広告代理店に依頼して成果ゼロ
一般的な広告代理店は広告運用には長けていますが、人材業界特有の媒体(Indeed、求人ボックスなど)の運用ノウハウがなければ成果は出ません。
さらに近年はFacebook広告やX(旧Twitter)広告などSNS経由でも高い応募単価効率を実現できますが、これらの知見がない代理店では成果が出にくいのが現実です。
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失敗事例④ 広告・開発予算不足で求人サイトが機能不全
失敗する企業は予算の立て方が甘いです。
事業予算が500万円以下の場合は低コストのASP(テンプレート型サービス)で頑張るか、アフィリエイトサイトにするか、諦めるかの三択です。
少なくとも資産の無駄になるのでフルスクラッチ開発は諦めたほうがいいでしょう。3年間は赤字を想定した予算計画を立てて、資金調達(融資)する必要があります。
過去には中途半端な予算でワードプレスを使い求人サイトを開発した結果、ASP以下の機能しかない求人サイトになってしまった事例もあります。
タウンワークやエン転職などメジャーサイトに対抗する求人サイトを目指すなら開発スタートからリリースまでに普通は1年以上はかかるので人件費や広告宣伝費を含めたら2000万円以上は費用がかかります。
失敗事例⑤兼任スタッフのみで求人サイト運営を行い改善が進まない
片手間で成功させようとしていると考えているなら大間違いです。
たとえ優秀な人材が揃っていてアイデアが素晴らしくても、メンバー全員が兼任しているとリソースが分散され、立ち上げスピードが遅くなり、いつまでたってもサイト改善が放置され、企業獲得が上手くいきません。少なくとも専任が3名必要です。
失敗事例⑥開発会社の選定ミスで求人サイトがバグだらけに
ある会社はホームページ制作会社に求人サイトを発注したら、開発工程やテストも杜撰でバグが発生しまくりの悲惨なサイトが出来あがった事例があります。
そもそも数ページ単位のコーポレートサイトまたは簡単なECサイトの開発しか経験がない企業に求人ポータルサイトの開発はできません。
ホームページ制作会社に求人サイトを発注するのは、木造一軒家を得意とする建築会社にマンションビル設計をお願いするようなものです。会社を選ぶ判断基準は求人ポータルサイトの開発経験、最低でも大規模ポータルサイトの開発・保守・運用を携わったことがあるかどうかが一つの指標です。従業員が5名以下の会社に発注するのは控えたほうが無難です。
開発面ではデバッグの期間を全く考慮していない企業も。素人さんの中に、求人サイトもホームページの延長戦と考えている人がいます。何が問題かと言うとデバッグは起きない前提で考えており、起きても1日で修正できると考えている方がいます。
開発会社も発注元が素人だと知っているのに説明していない、もっと言えば開発会社も技術不足で炎上しまくりの事例もあります。仕様書もなく開発を進め、テストもおこなわずに本番リリースした結果、エラーが死ぬほど発生。大体が完成度80%を目指していると、50%にも満たないことが多いです。
開発会社は途中で切り替えることが難しいので、最初にしっかりとした会社に依頼しましょう。
失敗事例➆初年度黒字化など非現実的な目標設定で運営停止
リリース1年目から黒字化を目指している組織は、大体3年以内に求人サイト運営を終了・停止しています。
夢をもつことは大事ですが、1年目の売上目標や目標アクセス数が大きすぎるとモチベーションが保てずに挫折します。それが無茶な目標だと自覚していれば問題ありませんが、自覚なしの過大な目標設定だと本人だけでなく周囲のメンバーも心が折れます。
自社サービスを過大評価してしまい、初年度から高い契約率と更新率を設定し、売上達成の計画を立てても、達成できた企業は皆無と言えます。こうしたケースでは「現実的な目標ではない」と助言しても否定的な意見だとして聞き入れてもらえない場合があります。結果的に周囲がイエスマンで固められていることも。
また目標に対しての行動が伴っていないのも問題です。例えば売上1憶円を目指しているのに、営業が1名しか配属されていないことがあります。企業獲得には営業人員がある程度は必要ですが、簡単に企業獲得できるものだと考えている方が多いです。
成功する求人サイト運営の条件と3年間継続の重要性
現在、人材業界は空前の好況を迎えています。アルバイト求人サイトや転職サイト運営会社は軒並み過去最高益を更新し、人材不足に悩む企業からの繰り返しの広告出稿が続いています。こうした背景から、外部の企業からは「儲かる業界」として魅力的に映るかもしれません。
しかし、現在の大手求人サイトも順風満帆だったわけではありません。リーマンショック時には企業の採用活動が停滞し、リクルートやマイナビといった大手ですら人件費削減や募集停止に追い込まれた時期がありました。その厳しい時代を乗り越えたからこそ、今の安定的な成長があるのです。
求人サイト運営で成功するためには「最低3年間は赤字覚悟で継続する」という強い意志が不可欠です。
リリースから1年以内で利益を出すことは現実的ではなく、年間売上100万円に到達することすら高いハードルです。実際、この市場では大手企業が年間数十億円規模の広告費を投入しています。
損得勘定だけで安易に参入すれば、早期撤退に終わるリスクが高まります。3年間は投資期間と割り切り、長期的なブランド構築と集客基盤の形成を目指すことが、求人サイト成功の必須条件です。
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まとめ:求人サイト開発で失敗しないために
求人サイト運営は、理想だけでは成功できず、企画・機能設計・集客戦略などあらゆる面で専門的な判断が求められます。今回紹介した失敗事例は、多くの企業が実際に経験してきた課題であり、自社の運営計画を見直すための重要なチェックリストになります。
特に立ち上げ初期は、方向性や戦略を固める最も重要な時期です。この段階で機能の抜け漏れや使い勝手の悪さが残ってしまうと、集客や成約率にも大きな影響を及ぼします。毎月新規オープンする求人サイトの中でも、競合との差別化に成功するのは一握りです。
弊社では、求人サイトの企画段階から運営改善まで一貫してサポートし、他社では当たり前になっている機能実装や運用ノウハウを的確に提供しています。失敗を避け、短期間で軌道に乗せたい企業様は、ぜひ初回無料の専門家アドバイスをご利用ください。