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求人広告が小泉進次郎構文の面白い名言であふれてる問題
キャリア・働き方論
「アットホームな職場です」「若手活躍中です」「やりがいのある仕事です」
求人広告を見ていると「何か良さそうなことを言っているけど、結局よくわからない言葉」に遭遇することがあります。
最近ネットで話題になる「小泉構文」のように、それっぽいことを言っているようで実は何も言っていない。そんなフワッとした表現が、就職・転職市場には意外なほど大量に存在しています。
この記事では、求人広告代理店の現場で見てきた「仕事版小泉進次郎構文」の面白い名言をまとめました。転職ノウハウ記事というより、採用業界あるある大喜利みたいな記事です。
たぶん途中から「この求人見たことある…」ってなります。
目次
小泉構文とは?
小泉構文とは「何かを言っているようで、実は同じことを繰り返しているだけの文章」を指すネットミームです。
元ネタは政治家・小泉進次郎氏本人の「今のままではいけないと思っています。だからこそ、日本は今のままではいけないと思っている」といった発言です。
論理学では「トートロジー(同語反復)」とも呼ばれますが、意味がありそうで具体性がない独特な言い回しが「ボケて」やネット中心に話題になりました。
文章のコツは、
- 同じ意味を繰り返している
- 抽象的で便利な言葉を使う
- それっぽく聞こえる
- でも具体性はない
という点です。
小泉進次郎本人の名言一覧
小泉進次郎さん本人の名言・名作を一覧でまとめました。
- 政治に無関心であることは政治に無関心のままでいられる
- 約束は守るためにありますから約束を守るために全力を尽くします
- 今日が誕生日ということは、 来年もまた誕生日が来るんです
- クリスマスが近づくと、 街がクリスマスっぽくなりますよね
- お昼ご飯を食べると、 お腹が満たされるんです
- 30年後の未来は、 今から30年経つとやってくるんです
- 毎日は日々のことです。 だからこそ、毎日は大切なんです
最近では「小泉構文の作り方」や「小泉構文の例文」をChatGPTで生成して遊ぶ人も増えています。
また「小泉構文一覧」や「進次郎構文の名作」をまとめたネタ投稿、「ボケて」の大喜利系コンテンツも人気で、「小泉構文メーカー」も登場したり、SNSではもはや一大ジャンルになっています。
ここまで読んで「求人広告と同じじゃない?」と思った人、かなり鋭いです。
求人広告にありがちな小泉構文まとめ
求人広告には「何か良いことを言っているようで、具体的には何も説明していない言葉」が大量に登場します。
採用側からすると便利ですが、求職者から見ると「結局どういう会社なんだ?」となることも少なくありません。
- 社員同士の距離が近いんです。近いということは、距離が近いんです
求人広告界で最も有名な小泉構文が「アットホームな職場」です。
ただ「何がどうアットホームなのか」は誰も説明してくれません。社員同士の仲が良いのか、距離感が近すぎるのか、休日BBQが強制されるのか。そのへんは入社してからのお楽しみです。なお、求人票に「家族みたいな会社です」と書いてある場合、かなりの確率で距離が近いです。
- やりがいのある仕事です。つまり、やりがいを感じながら働けるということなんです
「やりがい」という言葉、便利すぎる問題があります。
忙しくてもやりがい。給料が低くてもやりがい。休日が少なくてもやりがい。もはや採用業界の万能調味料です。ちなみに求人広告あるあるですが、大変な仕事ほどやりがいを強調しがちです。
- 未経験歓迎ということは、未経験でも応募できるんです
未経験歓迎なのに、歓迎スキル欄だけ異常に長い求人があります。
Photoshop、Illustrator、営業経験、SNS運用、動画編集、英語力。もう経験者やん、と思う瞬間です。採用側の本音としては「できれば経験者ほしいけど、応募来ないので未経験にも広げてます」が割とあります。
- 頑張った人が稼げる会社では、頑張った人が稼いでいます
営業求人で頻出するタイプです。
なお、頑張っても稼げない人については、あまり語られません。求人広告を見ると、だいたい月収100万円プレイヤーだけが登場しています。その横で静かに消えていった人たちの話は載りません。
- 若手活躍中ということは、若手が活躍しています
この言葉を見るたびに「中堅はどこへ行ったんだろう」と考えてしまいます。
もちろん本当に若手が成長している会社もあります。ただ、採用業界では「若手しか残っていない会社」にも普通に使われる言葉です。便利すぎる。
ブラック企業の求人広告はすべて小泉構文説
ブラック企業ほど、抽象ワードを愛しています。
理由はシンプルで、具体的に書くと応募が減るからです。
- 風通しの良い職場です。つまり、誰でも辞められます
風通しが良いのか、人が定着していないのか。その境界線は意外と曖昧です。なお、本当に風通しが良い会社は、「風通しが良い」とあまり言いません。なぜなら普通だからです。
- 裁量権があります。つまり、自分でなんとかします
ベンチャー企業でよく見ます。「若いうちから裁量権!」「圧倒的成長環境!」なお、教育担当はいません。Slackだけ渡されて戦場に放り込まれるケースもあります。
- 少数精鋭です。つまり、人数が少ないんです
少数精鋭って便利な言葉です。人が足りない時も、少数精鋭。一人の業務量がおかしい時も、少数精鋭。誰か辞めると会社が止まりそうな時も、少数精鋭です。
- 成長環境があります。つまり、常に忙しいんです
求人広告や人材紹介では「忙しい」を成長と言い換えがち問題があります。もちろん本当に成長できる会社もあります。ただ「成長できる」と「常に余裕がない」は意外と紙一重です。
求人票で何も言ってない小泉構文ランキング
採用現場には「便利すぎて何にでも使える言葉」が存在します。
- 人柄重視
何の人柄なのかは会社によります。明るさなのか、忍耐力なのか、空気を読む力なのか。たまに「辞めなさそうな人」という意味で使われています。
- やる気がある方歓迎
逆に、やる気がない人を歓迎する会社を見たことがありません。かなり完成度の高い小泉構文です。
- 成長できる環境
成長とは何か。この問いに答えられる求人広告、意外と少ないです。なお、残業時間が増えることを“成長”とは言いません。
- 夢を応援します
夢を応援してくれる会社です。ただし、生活が安定するとは限りません。特にフルコミ営業求人で頻出します。
転職アドバイスに小泉構文多すぎ問題
SNS時代になってから、転職界隈も完全に小泉構文化しました。短くて、それっぽくて、保存されやすい言葉ほど伸びるからです。
- やりたい仕事をやることで、やりたい仕事をしている状態になるんです
正論っぽいですが「そのやりたい仕事がわからない」が転職最大の悩みだったりします。なお、SNSではその続きは誰も教えてくれません。
- 向いてる仕事は、その人が力を発揮できる職務、それが向いている仕事なんです。
完成度が高すぎます。転職界隈、たまに天職探しRPGみたいになりますが、実際はやってみないとわからないことだらけです。
- 行動した人って、やっぱり行動したからこその結果が出ているんですよね
自己啓発アカウント界隈で頻出します。なお「何をどう行動するか」は省略されがちです。雰囲気だけで押し切る感じ、かなり小泉構文っぽい。
関連記事:おじさん構文とは?特徴・例文・診断・求人広告での使い方と注意点
社会人は小泉構文で生きてる説
ここまで来ると、仕事そのものが小泉構文です。
- 仕事が終わらない時って、仕事が多いんですよね
繁忙期の社会人、だいたいこれを言い始めます。
残業続きの時に飛び出しがちな名言です。「いや、そりゃそうだろ」と思うのですが、不思議と疲れている時ほど深い言葉に聞こえてきます。
実際の職場では「案件が重なっていて…」「タスク整理が追いつかなくて…」と説明する余裕すらなくなり、最終的に「仕事が多いから終わらない」という究極にシンプルな結論へ到達します。
ある意味、社会人の真理かもしれません。
- 月曜日って、週が始まったということなんですよね
出勤した瞬間にテンションが下がる社会人あるあるです。
日曜夜までは元気だったのに、月曜日の朝になった瞬間「現実」が始まります。
特に連休明けの朝は「今日からまた仕事か…」「まだ体が休みモード…」という感情と共に、この小泉構文が脳内再生されます。
しかも恐ろしいのは、火曜日以降も普通に平日だという点です。社会人は毎週これを繰り返しています。
- 定時退社できる日は、結果的に定時で帰れているんです
社会人にとって定時退社はもはやイベントです。
求人広告では「残業少なめ!」「ワークライフバランス重視!」と書かれていても、現場では「今日は定時で帰れるらしいぞ」と軽くお祭り状態になることがあります。
特に忙しい業界ほど、定時退社は当たり前ではなく発生イベントです。そして定時で帰れる日に限って「このあと飲み行く?」「急ぎ案件入った」「ちょっとだけ確認いい?」が発生しがちなのも、社会人あるあるです。
まとめ|求人広告は小泉構文で読むとちょっと面白い
求人広告や転職市場には「何かを言っているようで、実は何も言っていない言葉」が大量に存在します。
そして、その多くは驚くほど自然に社会へ溶け込んでいます。アットホーム。若手活躍中。成長環境。気づけば全部、それっぽい言葉です。
今後求人広告を見る時は「つまり、それってどういう意味なんですか?」と心の中で小泉構文翻訳してみてください。たぶん少しだけ、求人票が面白く見えてきます。

