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求人検索エンジン「スタンバイ」1年目の評価と今後の課題
集客戦略・媒体運用株式会社ビズリーチが運営する求人検索エンジン「スタンバイ」。2015年5月のリリースから早くも1年が経過しました。
求人検索エンジン市場では、すでに「Indeed」が圧倒的な知名度と流入数を持っており、後発サービスであるスタンバイがどこまで存在感を出せるのか注目している人も多いと思います。
実際、ここ数ヶ月でテレビCMを大量投下するなど、ビズリーチ側もかなり本気で市場獲得を狙っている印象があります。ただ、現時点では応募効果やSEO流入などを見る限り、まだ試行錯誤している段階という印象も強いです。
今回は、スタンバイ1年目時点での評価や課題、Indeedとの違い、今後の可能性について、人材業界目線で考察してみたいと思います。
目次
スタンバイのビジネスモデル

スタンバイは、簡単に言うと「求人版Google」のようなサービスです。
求人情報を自社だけで保有するのではなく、インターネット上にある様々な求人情報を集約し、ユーザーが横断的に検索できる仕組みになっています。
競合としてはIndeed(インディード)が有名ですが、現状の知名度や流入規模ではIndeedが圧倒的に先行しています。
スタンバイやIndeedは、求人情報を“集める側”のサービスです。
一般的な求人サイトは、自社で企業から掲載料金をもらい、求人原稿を掲載します。
一方、スタンバイやIndeedは、インターネット上の求人情報をクローラーで巡回したり、API連携などを通じて取得し、それらを検索できる形にまとめています。
このような仕組みは「アグリゲーションサイト」とも呼ばれています。
イメージとしては、GoogleがWebサイトを検索できるように、スタンバイは求人情報を検索できるようにしている形に近いです。
掲載件数が増えるほど強くなる
現在では、バイトル・イーアイデム・ハローワークなど国内の様々な求人情報が掲載されており、掲載案件数は約400万件規模まで増えています。
求人検索エンジンは、掲載案件数が増えるほどユーザーが集まりやすくなり、ユーザーが増えるほどさらに求人情報も集まりやすくなるという特徴があります。
そのため、この業界はかなり“規模のビジネス”です。
特にIndeedは、検索流入・ブランド認知・掲載数のすべてで先行しており、後発サービスが追いかけるのは簡単ではありません。
スタンバイもテレビCMやアプリ展開を積極的に進めていますが、今後どのように差別化していくのかは非常に気になるところです。
スタンバイの評価
現時点では、応募効果・知名度・SEO流入のどれを見ても、indeed(インディード)との差はかなり大きい印象です。
特に求人検索エンジンは「求人件数」だけでなく、「どれだけユーザーを集められるか」が非常に重要になります。そのため、SEO対策や広告戦略がサービス成長に直結しやすい業界です。
indeed(インディード)との差は大きい
現状のスタンバイは、求人検索エンジン市場においてIndeedの後を追う立場になっています。
競合分析ツール「シミラーウェブ」の記事『求人検索「indeed」の後は追えない!? 日本国内アグリゲーションサイトの限界』でも触れられていますが、自然検索流入数ではIndeedとの差が非常に大きく、2016年3月時点では百分の一以下というデータも出ています。
もちろん、これはテレビCM大量投下前の数字でもあるため、現在は多少改善している可能性もあります。ただ、求人検索エンジンというビジネスは、一度ユーザー習慣を取ったサービスが非常に強い世界です。
実際、「仕事探しならIndeed」という認知がすでにかなり広がっている印象があります。
スタンバイがSEOに苦戦している理由
スタンバイは後発サービスということもあり、SEO面でかなり苦戦しています。
求人検索エンジンは、膨大な求人ページをGoogle上で上位表示させる必要があります。しかし、この領域はIndeedが長年かけて圧倒的なページ数・被リンク・ドメイン力を積み上げています。
そのため、単純に求人情報を集約しただけでは検索順位で勝つことが難しい状況です。
また、求人検索エンジンはユーザー数が増えれば増えるほど企業掲載も集まりやすくなる「規模のビジネス」でもあります。だからこそ、スタンバイも最近ではテレビCMなどマス広告へ大きく投資しているのだと思われます。
スタンバイのテレビCM戦略
スタンバイは2016年3月に大規模な資金調達をおこなって以降、マス媒体に広告予算を大量投入しています。
特にテレビCMを中心に知名度獲得を狙っています。最近放映されているスタンバイのテレビCMでは「検索エンジン」をPRしておらず、「地図で探せる仕事検索アプリ」と謳っています。
スタンバイはサイト上でも「家の近くや学校の近くにある仕事を、地図から簡単に探せるアプリです。」と訴求しており、競合他社のindeed(インディード)はテレビCMで「世界No.1求人サイト」とPRしているのと比較すると、同じサイトコンセプトでありながら、テレビCMは全く違うコンセプトを打ち出していることがわかります。
このことからサービス開始当初から競合他社としてターゲットにしていたindeed(インディード)と真正面から戦うのではなく、違うポイントでの競争・勝負に切り替えたと言えます。
このまま進んでも検索エンジン上での上位表示ランクインが困難だと見切りをつけたのか、それともindeed(インディード)との競争を早々にリタイアしたのか、はたまたプロモーション戦略なのかは不明ですが、1年間という短期間で大分コンセプトが変化させており、今回の判断がどのような影響を及ぼすのか今後に注目です。
スタンバイのサブ機能:スタンバイ・カンパニー

※2019年12月19日からスタンバイ・カンパニーはかんたん求人作成にサービス名称
※2019年12月19日からスタンバイ・カンパニーはURL変更(https://kantan-kyujin.com)
※2021年03月31日をもってかんたん求人作成はサービスを終了
スタンバイ・カンパニー(https://stanby.co/)という無料で採用ページを作成できるサービスを2015年5月から始めています。2016年7月27日にはiOS/Android版アプリをリリースするなど、企業にこの機能の活用を積極的にアピールしています。
最大のメリットは無料で採用ページが作成できる点です。比較的簡単に作成でき、スマートフォンにも最適化されています。スタンバイにも無料掲載されるようですが、スタンバイの効果が未知数の為、その部分は期待しすぎないほうがよさそうです。
デメリットは応募者管理が自社管理出来ない点と、原稿作成を自社で対応しなければならず、手間はかかります。
応募者管理は特に複数の求人媒体を利用している企業は、複数の管理画面で応募者対応をする必要が発生するため、めんどくさいと嫌がる人も結構います。スタンバイ・カンパニーでの求人数は現在約1万件あり、小売店や個人経営事業者が利用されているようです。
ビズリーチにとっては、スタンバイで掲載を勧めるだけでなく、周辺サービスからも企業獲得を狙っていこうという意図が読み取れます。企業の採用ページを掴むことで、間接的にスタンバイの企業数を増やすことが可能です。
メリットデメリットがありますが、総合的に良い機能(サービス)だと思います。企業側にとっては無料のためリスクもありませんので、採用ページがない企業は利用してみてもいいかもしれません。
スタンバイの今後の展開
スタンバイが今後も「地図で探せる仕事検索アプリ」をコンセプト・一番の強みとすると競合市場や競合他社が変化します。「地図で探す」ということは正社員ではなく、アルバイト・パート層がメインユーザーとなりますので、競合他社はアルバイト求人サイトになります。
アルバイト求人サイトはテレビCMでおなじみのバイトルやタウンワークがいます。どちらも日本最大級の求人情報メディアで、知名度も抜群に高いです。もちろんアプリもありますので、スタンバイは「地図で探せる仕事検索アプリ」という土俵でも苦戦すると考えられます。
スタンバイは「無料で求人掲載できる」が本来のコンセプトであり、各企業単位で掲載をしてほしいというのが本音だと思いますが、現状はバイトルやイーアイデムやanなど各求人サイトのまとめサイト的な印象が強いです。
アルバイトのまとめサイトというジャンルでは、株式会社じげんが運営している「アルバイトEX」があります。収益構造は全く違いますが、こちらも競合サイトになりうる存在です。
まとめ|求人検索エンジン市場は想像以上に厳しい
スタンバイは、まだリリースから1年しか経っていないサービスです。そのため、現時点で「成功」「失敗」を判断するのはまだ早いと思いますが、少なくとも求人検索エンジン市場が想像以上に厳しい世界であることは見えてきました。
特にIndeedは、SEO・広告・ブランド認知のすべてで先行しており、後発サービスが真正面から競争するのはかなり大変です。その中で、スタンバイが「地図で探せる仕事検索アプリ」という方向へ舵を切り始めたのは、差別化戦略としては面白いと思います。
ただ、アルバイト領域にもバイトルやタウンワークといった巨大サービスが存在しており、こちらも簡単な市場ではありません。個人的には、ビズリーチが持つ営業力や資金力を活かしながら、企業側の採用ページ作成機能や周辺サービスとどう連携していくのかが今後のポイントになる気がしています。
数年後に「Indeedに対抗できる国内サービス」と呼ばれる存在になるのか、それとも別路線へ進むのか。求人業界に関わる人間として、引き続き注目していきたいサービスです。

