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「経営者目線を持て」は危険?経営者が違和感を覚える理由
キャリア・働き方論「もっと経営者目線を持て」「会社全体を見て行動しろ」
会社でこう言われた経験がある人は多いと思います。ただ、経営者の立場から見ると、この言葉を管理職が若手社員やアルバイトに使い始めた会社は危険だと思っています。
なぜなら、会社というのは本来「役割分担」で成り立っているからです。新卒には新卒の役割があり、現場には現場の役割があります。
それなのに全員へ「経営者目線」を求め始めると、だんだん組織の境界線が曖昧になり、現場が疲弊していきます。今回は、経営者の立場から「経営者目線を持て」という言葉に違和感を持つ理由を書いていきます。
目次
「経営者目線を持て」を言いたがるのは大体中間管理職
課長や部長ほど「経営者目線」を使いたがる
「経営者目線を持て」という言葉は、実は社長より課長や部長のほうが使いがちです。
特に中間管理職になると「もっと視座を高く」「全体最適で」「オーナーシップを持って」といった言葉を使う場面が増えてきます。もちろん悪気があるわけではなく、“自分で考えて動いてほしい”という気持ちから出ているケースも多いです。
ただ、その言葉が増えすぎると、現場側は「責任だけ増えている」と感じやすくなります。結果として、組織の空気がどんどん重くなってしまう会社も少なくありません。
本当の経営者ほど「役割」を重視している
実際の経営現場では「全員が経営者になれ」と考えている社長はそこまで多くありません。
むしろ、本当に組織を理解している経営者ほど、役割分担をかなり重視しています。営業には営業の役割があり、管理職には管理職の役割があり、新卒にはまず基礎を覚える役割があります。
会社はサッカーチームと同じで、全員がフォワードになれば強くなるわけではありません。それぞれが自分のポジションを理解している組織のほうが、実際は安定して強かったりします。
社長が「経営者目線を持て」を多用し始めたら危険
本当に経営者目線で考えたら「会社を畳む」判断もある
本当に経営者目線を求めるなら、会社にとって都合の悪い結論も受け入れなければいけません。
例えば社員が「経営者目線で考えた結果、この事業は撤退したほうがいいと思います」と発言したらどうでしょうか。あるいは「利益率を考えると、今の人員体制では無理があります」「広告予算を10倍にしたほうが良いと思います」と言われたらどうでしょう。
多くの会社では、おそらく「そういうことじゃないんだよ」と空気が変わると思います。つまり実際には「経営者目線」ではなく「会社に都合よく動く社員」を求めているケースも少なくありません。
結局「空気を読め」になっている会社も多い
「経営者目線で考えろ」が、最終的に「空気を読め」へ変わってしまう会社もあります。
本来、経営者目線とは「利益」「撤退」「投資」「人員整理」まで含めて考えることです。しかし現実には「会社に逆らわず、自発的に頑張ってほしい」という意味で使われることもかなり多いです。
だから社員側も「結局は精神論なんだな」と冷めてしまいます。この状態になると、主体性ではなく、察する力ばかり求められる組織になってしまいます。
会社は役割分担で成り立っている
新卒に必要なのは経営者目線ではなく再現性
新卒社員に最初から必要なのは、経営者目線より基本を再現できる力です。
まずは報連相を覚え、業務フローを理解し、安定して仕事を進められるようになることが優先です。この段階で「もっと経営視点を持て」と言われても、正直かなり難しいと思います。
むしろ変に経営者気取りになって独自判断が増えるほうが、現場は混乱しやすくなります。新卒には新卒の役割があり、その役割をきちんと果たせること自体が十分価値のあることです。
現場社員が勝手に経営判断し始めたら組織は崩壊する
全員が経営者っぽく動き始めると、逆に組織はまとまらなくなります。
例えば営業が独断で利益率を変えたり、現場判断でサービス内容を変え始めたら、会社は普通に危険です。経営というのは、本来かなり多くの情報をもとに全体最適で判断する仕事だからです。
だからこそ、会社には役職や決裁権が存在しています。全員が経営判断を始める組織より、役割分担が整理されている組織のほうが実際は強いと思います。
「経営者目線」より大切なのは自分の役割を理解すること
良い組織ほど役割が整理されている
本当に強い会社ほど「誰が何を決めるのか」が整理されています。
社長は経営判断を行い、部長は組織管理を行い、現場社員は業務を遂行する。この線引きが曖昧になると、責任の所在もどんどん曖昧になっていきます。
特に「全員経営者」という言葉を使い始める会社ほど、逆に役割が崩れているケースもあります。組織は熱量だけでは回らないので、役割設計はかなり重要です。
全員に経営者を求める会社は大体疲弊する
「自走」「オーナーシップ」「視座」といった言葉ばかり増える会社は少し注意が必要です。
もちろん主体性は大切ですが、それだけで組織を回そうとすると、現場への負担がどんどん増えていきます。特にベンチャー企業では、頑張る人だけで成立している状態になりやすいです。
結果として、真面目な人ほど疲弊し、燃え尽きやすくなります。精神論より、役割・権限・評価を整理するほうが、組織としては健全だと思います。
経営者として本当に欲しい社員
「経営者っぽい人」ではなく役割を果たせる人
経営者として本当にありがたいのは、経営者っぽい人より、自分の役割をきちんと果たせる人です。
新卒なら基本を覚えること、主任なら現場を回すこと、管理職ならチームを整えること。それぞれが自分の役割を理解し、安定して仕事をしてくれる組織はかなり強いです。
逆に全員が「経営者風に」なり始めると、意見ばかり増えて現場がまとまらなくなります。会社は、役割分担が機能している時ほど、実は一番うまく回っていたりします。
まとめ|「経営者目線を持て」は便利だけど危険な言葉
「経営者目線を持て」という言葉は、一見すると前向きで成長意欲のある言葉に聞こえます。ただ実際には、役割の境界線を曖昧にしてしまう危険な言葉でもあります。
会社は、全員が経営者になることで強くなるわけではありません。むしろ、それぞれが自分の役割を理解し、責任範囲を整理したほうが、組織は安定して機能します。
経営者として本当に必要なのは「経営者っぽい社員」ではなく、自分の役割をきちんと果たせる社員なのだと思います。

