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最新HR×人工知能領域サービス7選
日本国内ではHR×人工知能・ビッグデータといった分野が非常に賑わっています。スタートアップ企業の資金調達したニュースも散見され、投資家も注目。これからの時代の一大テーマだけに私も注目しています。
今回はすでにサービスをローンチしている「HR×人工知能」関連領域におけるスタートアップ企業に関してまとめます。
すでに群雄割拠? 勃興する「○○×人工知能」領域
人工知能、機械学習、ビッグデータなど関連する各スタートアップの業界別まとめ
出展:http://www.shivonzilis.com/machineintelligence
この一覧は、Bloombergのベンチャーキャピタル部門であるBloomberg BetaのキャピタリストのShivon Zilisさんが3ヶ月かけて調査した人工知能、機械学習、ビッグデータなどに関連するスタートアップを業界別にまとめたものです。
同時投稿されたmediumでもまだそれほど反応はありませんが、これからの5年10年で飛躍する企業がこの中に存在する可能性は十分あり、非常に価値ある一覧です。今回はこの中の「企業向けHR/Recruiting領域」で取り上げられた7社をご紹介します。
Gild.com:エンジニアのスキルレベルの可視化から、転職タイミングの予測まで
2014年に当ブログでも取り上げているgild.comは、世界中のソーシャルメディアやGitHub、Google Code、Stack Overflowなどのエンジニアが利用するサービス、さらには個人ブログまで約80もの一般公開されているWebサイトの情報を大量に収集。
それらの情報を解析し、「エンジニアレベルの可視化、ポイント化、レベル化、ランキング化」を行っています。さらにこうして構築された膨大なデータベースを標準化することによって、人事向けにスカウト機能を有料で提供しています。
また2014年末にはGild Spotlightという「就業者が転職したくなるタイミングを予測」する、つまり「Passive Candidate(消極的な、潜在的な求職者)」から「Positive Candidate(積極的な求職者)」へ変化するタイミングを独自アルゴリズムによって予測するサービスも開始しました。
もともとは膨大なビッグデータを収集、解析、指標化するサービスからその傾向を分析し機械学習による予測まで進化したことで今後の人工知能関連サービスとして評価をされています。
Entelo:3,000万人以上の候補者を探せる
Enteloは、gildと同様に各種メディアから収集された3,000万人の候補者を検索できるサーチ機能、スカウト機能を軸としたサービスです。
それだけではなく、転職希望が活性化するタイミングを予測する機能や、性別や人種、軍隊経験など企業内の「Diversity(多様性)」を促進するための機能などにより差別化を行っています。
2011年の設立から$8.7mil’($1=117円で10億円)の資金調達を実施しています。
上記のEnteloと同じビジネスモデルで、月間$500から活用できるTalent Engine(スカウトデータベース)サービスです。TalentBinは、2014年2月にアメリカHRサービス大手であるMonsterに買収されており、今後のMonster.comのソーシャルリクルーティングの取り組みの方向性にどう影響するかが楽しみです。
ちなみに以下の動画は、求職者を魚に例えてその魚を効率よく釣る(採用する)というストーリーなのですが、こうした表現が許されるHRサービスというのも文化の違いを感じますのでお手隙の際にご覧ください。
Predikt:人工知能を採用に活用
上記4つの企業は2011年に設立された企業です。それから3年後の2014年1月に設立されたPredikt は、最初からた「人工知能を採用に活用」を明言しているスタートアップです。
まだ設立1年目で、従業員が3名ということもあり、流通している情報は少ないですが、「Predikt Score」という独自のスコアによりエンジニアのスキルを可視化することで効率的なスカウト実現を目指すサービスです。人事向け管理サービス事業者へのAPI公開など積極的に行っています。
hiQ:採用以外のHR領域のデータ分析も提供
上記のような採用メインではなく、「People Analytics™」サービスとして、採用から人材開発、従業員満足向上からリテンション(退職保留)まで統合的に社内情報を分析するサービスです。
資金調達額は$300万程度ですが、主要メンバーにはデータサイエンティストを揃え、CEOの年齢も40代、資金調達もすべてConvertible Note活用、LinkedInの投稿を見ても昨今の若いスタートアップとは違う匂いを感じとても楽しみです。
CONCEPT NODE:データ分析によるチームビルディング支援
CONCEPT NODEは、主に従業員が500人以上の企業向けに、データ分析によるチームビルディング支援を行うサービスのようです。
しかし、ブログは2013年7月を最後に更新が止まっている状態で、メディアに露出している情報もほとんどありません。しかし、今回のリストに掲載されている以上、何かあるかもしれません。
Connectifier:Chromeプラグイン型候補者サーチサービス
Chromeのエクステンションとして、LinkedIn等webでのサーチ活動を支援するサービスです。すでにFortune100中25%の企業ならびに数千社での活用実績を有し、非公開ながら大手VCからの資金調達も行っているとのことです。情
報が非常に少なく、プロダクトもほとんど公開されていませんが、経営陣は元Googleやマイクロソフト出身など業界に精通した20人規模のチームをすでに確立しています。
オフィスがシリコンバレーやサンフランシスコでなくここ数年で注目されつつあるカリフォルニア州ロサンゼルスのニューポートビーチというのも新規性を感じます。
まとめ:HR×AIの息吹
結論、すでに飛躍中の企業が一部あるものの、ほとんどがまだまだアメリカでも試行錯誤状態であり、且つ目立ったポジションでない、FacebookページやLinkedInカンパニーページのフォロワー数も少ない状態で正に今が投資チャンスとも言える状況です。
Gild、Entelo、TalentBin、Connectifierの4社は「採用担当がPassive Candidate(消極的な求職者)へアプローチできるダイレクトソーシングサービス」という特徴があり、かつ2011年5月〜11月に設立されているところにトレンドを感じます。
設立1年程度となるPrediktのみが「HR×Artificial Intelligence Technology」を標榜しており、これからは一つのトレンドとして人工知能を表記する企業が出てくることになるでしょう。