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求人サイト運営で失敗する企業の共通点と成功に必要な3つの役割
求人ポータルサイトの運営に約10年間、大手企業からベンチャー企業まで、営業・運用・開発のさまざまな立場で携わってきました。
日本最大級の求人サイト運営からゼロベースの新規事業立ち上げまで経験する中で、数多くの成功事例と失敗事例を目にしてきました。その中で気づいたのは、失敗する求人サイト運営には共通する組織構造上の問題があるということです。
本記事では、営業・運用・開発の役割分担に潜む落とし穴や、失敗を避けるための体制構築のポイントを具体例とともに解説します。これから求人サイト運営に参入する企業や、既存運営の改善を検討している方に役立つ内容です。
目次
求人サイト運営で成功するために大切な3つの役割
サイト運営にあたって営業と運用と開発の三つの役割が大切になります。
営業は新規獲得や既存顧客対応など営業活動全般。運用は顧客管理やカスタマーサポート(カスタマーサクセス)などサイト運営全般。開発は保守運用や機能追加などシステム開発・運用業務全般。つまりサイト運営にあたって最低でも3名の人間(役割)が必要です。
もちろんそれぞれ役割が違うだけでポジションごとの優劣はありませんので同時に進めることが事業拡大の早道です。失敗する組織は3つのうち2つだけに主眼を置いてしまったり、3つの役割に優先順位をつけてしまったりすることで、失敗したケースを見てきました。
営業だけが強い組織。運用と開発だけの組織。様々な運営体制を見てきましたが、3つの役割のバランスが取れていない組織は上手くいきません。サイト立ち上げにあたって「営業は未経験だと厳しいけど、運用は未経験でもなんとかなる」と考える方が多いですが、運用が素人だと効率が悪かったり、軌道に乗るまでの期間が長かったりします。
※運用は企業によって一般事務や広告制作ディレクター(プロデューサー)や商品開発マーケティングに該当します。
求人サイト運営における営業・運用・開発の関係と失敗を防ぐ方法
営業と運用と開発の組織間での根本的なコミュニケーション不足のケースが多くあります。営業の目標は企業獲得や売上。開発の目標はアクセスアップです。掲載企業のニーズと求職者のニーズは相反することがあり、ときに矛盾するそのバランスをとりながらサイトを発展させていく必要があります。
失敗事例として営業の意見を取り入れないで改悪リニューアルや機能実装が挙げられます。ひどいケースでは開発が営業に新規機能を知らせないままだったため顧客から質問されて初めて知ったというケースも。
残念なことに「自社サービスの機能のことも知らないのか!」とお叱りを受け、営業は顧客から信頼を失ったそうです。冗談のように聞こえますが、本当にあった実話です。ただコミュニケーションすればいいだけでなく、必要な情報を適切に情報共有することが大切です。
求人サイト運営に欠かせない営業企画の重要性と役割
冒頭で営業と運用と開発の3つの役割があると言いましたが、実は営業と運用の中間ポジションに「営業企画」という重要なポジションがあります。営業企画の役割は営業活動の効率化、既存顧客の分析、営業課題の発掘です。サイト運営が上手くいっている会社はこの役割を重要視しています。
有名なのがリクナビネクストやフロムエーなど日本最大級の求人サイトを運営している株式会社リクルートホールディングスです。かなり予算をかけて科学的に分析しています。逆に失敗する企業は営業企画の役割が曖昧であったり、営業か運用のどちらかが中途半端に役割を担っていたりするケースがほとんどです。
そのため顧客ニーズを無視した資料を作成していたり、エリア別特徴や沿線別特徴など自社のサイトデータをしっかり理解できていない残念な結果になります。もっとダメな会社は営業がアクセスや応募数を理解していない場合も…。これだと受注率に影響しますよね。
営業企画は「どうしたら売上が増えるか」「どうしたら営業がもっと売りやすくなるか」「どうしたら運営が効率化できるか」を考える立場になります。ナレッジ共有の構築や営業スキルの標準化など、業務範囲は専門的かつ広範囲の知識や経験が必要になります。そのため営業活動、資料作成、データ分析全ての経験やスキルが求められます。
営業企画職は一人の優秀な営業に頼らない組織体制の構築として、中規模以上のサイト運営には必要不可欠。ここには必ず営業と運用の経験者(ベテラン)を配属する必要があります。しかし営業経験者やバックオフィス系のスタッフは揃えられても、営業企画系の人材は希少価値が高いため中堅以下の規模だと人材不足が起きているのが現状です。
関連記事:求人サイト開発の立ち上げ失敗事例7選
求人サイト運営に必要な雇用関連の法律知識とコンプライアンス対策
求人サイト運営に携わっている全ての人間が関係する法律を理解する必要があります。採用や雇用に関係する法律として労働基準法や雇用機会均等法があります。
法律を理解しないまま進めてしまうと違法なサイトを運営してしまうことになってしまいますが、中堅規模の求人サイト運営会社では適切に守られていない企業が存在しています。
求人サイトの中には求人原稿の内容に差別用語が含まれていたり、最低賃金の表記が守られていなかったりするサイトがあります。最低賃金は毎年のように更新されていますので確認が必要です。
また掲載審査で確認漏れが発生しても問題がないように、定期的なサイトパトロールをおこなう必要があります。異業種から参入した会社が雇用関連の法律を全く知らないケースが多いです。
差別用語など知識を得るために便利なのが全国求人情報協会です。全国求人情報協会は、求人情報媒体が読者の職業の選択と安定した職業生活に役立つことなどを目的に、設立された公益法人です。入会にはそこそこの費用が発生しますが、余裕があれば入会しておいたほうが無難でしょう。
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まとめ
求人サイト運営は年々新規参入企業が増え、競争が激化しています。特にマーケット規模が小さいニッチ分野にも参入する企業が増え、採用難という時代背景も追い風となり、今後も市場拡大が続くでしょう。
しかし、営業・運用・開発のバランスを欠いたままでは、短期間で成果を出せず撤退するケースも少なくありません。これから求人サイト運営に新規参入を検討する企業は、失敗しないためにも事前準備と組織体制の構築が不可欠です。
法律知識や営業企画の重要性も踏まえ、長期的に安定したサイト運営ができる基盤を整えてから参入することが、成功への近道となります。