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Indeedの広告効果と2020年以降の活用戦略
2016年以降、求人市場に革命をもたらしたIndeed(インディード)。圧倒的な広告効果で多くの企業に支持されてきましたが、近年では状況が変わりつつあります。
本記事では、過去の成功事例から最新の広告事情、そして今後の活用戦略まで、採用マーケティング視点で徹底解説します。
目次
2016年〜2019年におけるIndeed広告の圧倒的な効果
2016年から2019年にかけて、Indeed(インディード)の広告効果は他の求人メディアを大きく凌駕していました。
従来の求人広告ではなかなか応募が集まらない中、Indeedは圧倒的なスピードで応募を獲得でき、しかも採用単価も抑えられるという大きな強みがありました。
もちろん、企業や職種によって相性の違いはありますが、多くの業種でIndeedは抜群の結果を出し、「Indeedさえ使えば他の求人広告は必要ないのでは」と思わせるほどの影響力を持っていたのです。
しかし、2020年以降の令和時代に入り、Indeedの状況や活用方法は変化しています。ここでは、採用マーケティングの視点から最新の活用戦略を解説します。
インディード旋風が起こった背景
Indeedは、2016年頃から求人市場に旋風を巻き起こしました。クリック課金型広告という新しい仕組みは、それまで高騰し続けていた採用単価に苦しむ採用担当者にとって「希望の星」となりました。
求人市場が売り手市場化する中で、大手求人メディアに多額の広告予算を投下しても成果が出ないケースが増加していた頃、Indeedは「クリック課金型モデル」で新しい可能性を提示し、一気に注目を集めたのです。
他の求人メディアで効果が出ない中、Indeedは広告予算を増やせば増やすほど応募が集まるという仕組みを持ち、多くの企業がこぞって予算をシフトしました。実際、当時のIndeedは、他のどの採用施策よりも高い成果を挙げていました。
インターネット広告会社の参入が普及を後押し
また、Indeed広告が急速に普及した背景には、従来の求人広告代理店だけでなく、ホームページ制作会社やリスティング広告代理店など、Webマーケティングに強い企業が取り扱いを開始したことも大きく影響しています。
Indeedの特別認定パートナーには、オプト、セプテーニ、トランスコスモス、船井総研、サイバーエージェントなど、日本を代表するインターネット広告企業が名を連ねており、その普及をさらに後押ししました。
2019年以降に見え始めた広告効果の変化
しかし2019年後半以降、Indeedの広告効果は徐々に低下し始めました。これはIndeedのメディア力が低下したわけではなく、求人掲載数が急増し、求人サイト内競争が激化したことが主な原因です。
掲載企業の増加スピードがユーザー数の伸びを上回った結果、需給バランスが崩れ、広告の費用対効果が低下したのです。以前は競争が少なかったため、無料掲載でも応募が集まりやすい状況でしたが、今では有料掲載でも思うように応募数が伸びないケースが増えています。
大手企業が莫大な広告予算を投入し上位表示を占めるようになったことで、特に中小企業にとっては費用対効果が厳しくなる場面が目立つようになりました。
競争激化の原因と現状の評価
とはいえ、これはIndeed自体がダメになったわけではありません。むしろ、採用効果が高いからこそ、多くの企業が参入し、競争が激化していると言えます。
労働人口が減少し続ける日本において、求職者の総数は増えないため、同じ戦略を多くの企業が取り入れれば、結果的に応募数が分散してしまうのは自然な流れです。
求職者にとっては選択肢が増えるメリットがありますが、一般的な募集条件の企業にとっては、以前ほどの優位性を感じにくくなっています。
現在のIndeedの評価と運用のポイント
現在のIndeedの評価について、以前なら10段階評価で8〜9をつけていたところ、最近では6〜7程度が現実的な評価だと言えるでしょう。
ただし、このスコアは決して低評価ではなく、今なお国内トップクラスの求人メディアであることに変わりありません。多くのアルバイト求人サイトや転職サイトで成果が出にくい中、Indeedは一定の効果を維持しており、戦略的に活用すれば十分な成果を期待できます。
これからIndeedを使う上で重要なのは、過度な期待を持たずに実験的に取り組む姿勢です。
周囲の「すごく効果がある」という評判だけを信じて大きな予算をかけるのではなく、まずは小規模に始めてみて、効果を見ながら柔軟に調整することが大切です。
過去であれば、広告文や求人内容を編集したり、入札単価を調整するだけで改善が見込めましたが、最近では根本的な市場競争が原因で改善できないケースも多いです。そのため、今後は「合えば継続、合わなければ即停止」という割り切った運用が賢明です。
今後の求人検索エンジン市場の動向
さらに、2021年以降はIndeedだけでなく、他の求人検索エンジンの台頭も注目されています。
これまで「求人サイト=掲載課金型」というイメージが強かった日本の採用市場ですが、検索エンジン型の求人サービスが登場したことで、その常識が大きく変わろうとしています。
特に、カカクコムが運営する「求人ボックス」は、クリック課金型モデルを採用しており、企業側にとっては無駄なコストを抑えながら必要な応募数を集められる点が大きな魅力です。従来の掲載課金型の場合、掲載期間中に応募が少なくても一定の費用が発生するため、コスト面でのリスクがありました。
しかし、クリック課金型であれば、求職者の興味・関心が高いタイミングでのみ課金が発生するため、費用対効果の高い採用活動が可能になります。求人ボックスは、既に飲食・小売・物流など幅広い業界で活用が進んでおり、少しずつシェアを伸ばしています。
また、リクルートのIndeed、ビズリーチが展開するスタンバイ、エンジャパンのエンゲージといった大手企業が提供する無料採用ページ作成ツールも普及してきています。
これらのツールは、企業が自社の採用ページを手軽に立ち上げられる仕組みを持ち、求人情報を検索エンジンに連携できるため、求人票の露出を増やすことができます。これにより、従来の求人広告では届かなかった潜在的な求職者層にもリーチできるようになり、より多様な人材獲得のチャンスが生まれています。
市場全体としては、求人検索エンジンの影響力がますます強まり、求職者自身が能動的に仕事を検索・比較し、応募先を選ぶ時代に突入しています。
従来型の大手求人メディアに依存するだけではなく、複数の検索エンジン型サービスや無料ページ作成ツールを戦略的に組み合わせることで、企業はより多くのタッチポイントを持ち、最適な人材に出会う可能性を高められるようになります。
このように、今後の求人市場は「検索エンジン型」へのシフトが進むと予想され、採用担当者は最新のトレンドを踏まえた柔軟な戦略設計が求められる時代になっているのです。
まとめ|今後のIndeed広告活用のヒント
最後にまとめると、Indeedの広告効果が下がった理由は、メディアの力が落ちたからではなく、競争が激化し供給過多になったためです。
IndeedはすでにテレビCMなどの効果で全世代に広く認知され、特に20代や30代には強く浸透しています。しかし、ユーザー数が飽和状態に近づいており、今後は爆発的に伸びることは期待しにくいでしょう。
今後、求人ボックスなどの競合が存在感を増すか、Indeedがこのまま一強体制を続けるのか、採用市場はさらに進化していくフェーズに入っています。これからは、柔軟な広告運用と冷静な分析を組み合わせ、最適なメディア選定と戦略的活用が求められる時代です。