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2017/03/01

囲い込み戦略は本当に必要?経営者が知るべきリスクと依存しないマーケティング戦略

経営者であれば、一度は「囲い込み戦略」を実現したいと考えるのではないでしょうか。

顧客を継続的に自社サービスに留め、安定的な収益を生み出す仕組みは、ビジネスモデルの基本として語られることも多くあります。囲い込み戦略は「座布団ビジネス」「ちゃりんちゃりんビジネス」「固定客ビジネス」「定期収入モデル」など、さまざまな言葉で表現されることもあります。

自転車操業とは異なり、継続的に収益が生まれる仕組みを構築できれば、企業の経営基盤は非常に強固になります。この考え方はメーカーや小売業だけでなく、IT・Web業界でも広く語られてきました。

古くからあるビジネスの発想ですが、最近は「囲い込み」を意識しすぎるあまり、ユーザー視点から見ると使いづらいサービスや不親切な仕組みが増えているようにも感じます。実際、ある程度知名度のある企業やサービスであっても、顧客を縛ることを前提とした設計になっているケースは少なくありません。

以前、ある経営者の方と事業構想について話をした際も、「囲い込みができること」を前提にビジネスモデルを考えていました。しかし、その話を聞きながら、そもそもそこまで囲い込みを前提にする必要があるのだろうかと感じました。

私が囲い込み戦略をあまりおすすめしない理由はシンプルです。囲い込みを成立させるためには、最終的に市場でNo.1のプラットフォームを築く必要がある場合が多いからです。

しかし、そのポジションを獲得することは想像以上に難しく、多くの企業にとって現実的な戦略とは言いにくいのが実情だと思います。

まず値段設定が難しい。高いと拡大しませんし、安いと儲かりません。そして普及するまでの時間がかかります。

多くのベンチャー企業やスタートアップ企業は投資家やベンチャーキャピタルなど外部資本を入れて、数年間は赤字を覚悟して、上場したら黒字を目指すというストーリーを組んでいます。初年度から黒字化できている事業をあまり聞きません。

私としては囲い込み戦略をおこなわないことが最高のマーケティング戦略にもなると考えています。例えばクライアントのドメインやサーバー環境を自社で取得・管理することは囲い込み戦略になりますが、それしか選択できない場合は使い勝手が悪く、新規開拓のハードルが上がり、顧客数も増えていかないと思われます。

おそらく「ドメインって何?」という無知な顧客層にしか販売できないでしょう。また販売できたとしても「他社サービスを使われないために、わざと手間や手数料をとる」という仕組みは非常にクレームに繋がりやすいサービスモデルです。

解約の手順をわざとややこしくする、手続きを説明しない、連絡を無視する、解約手数料をとる、解約フォームを設けないといったサービスがいまだに多くあります。現在はネット上での評判も拡散され広がりやすく、致命傷になりかねません。

サービスを選択する基準として「他社サービスに移行しやすいか」「万が一の際にリスクヘッジできているか」が判断軸の一つになると考えています。これが難しい場合「それでも導入するだけの価値はあるか」になり、導入するまでのハードルが上がります。

囲い込みサービス系を利用しないことに対してのデメリットの比率の方が多くならないと導入に至りません。ただし、そこまでの価値を提供できるサービスはほんの一握りです。多くのサービスは差別化が難しく、競合他社と変わらないサービスと言えます。

余談になりますが、サービスの立ち上げ段階では「まずは売ってから考える」「売上を確保しながら改善していく」といった考え方を持つ経営者も少なくありません。

実際、サービスを市場に出しながら改善していくというアプローチ自体は、スタートアップや新規事業の現場ではよく見られるものです。その考え方を完全に否定するつもりはありませんが、とはいえサービス開始時点で一定水準のクオリティを担保しておくことはやはり重要だと思います。

企業理念として「クライアントサービスの追求」を掲げているにもかかわらず、実際のサービスレベルがそれに見合っていない企業も少なくありません。もちろん予算やリソースの制約があるため、理想通りにいかないケースがあることも理解できます。ただ、理念と実態のギャップが大きすぎると、結果として顧客の信頼を損ねてしまう可能性もあります。

囲い込み戦略も同じで、本来は強制的に仕組みで縛るものではありません。むしろ囲い込みを意識しすぎないほうが、結果として自社サービスのファンを増やすことにつながる場合も多いのではないでしょうか。

最初から囲い込みありきでビジネスモデル・商品サービスを設計するよりも、顧客にとって価値のあるサービスを提供し続けた結果「気づけば独自サービスの中で自然と囲い込みが生まれていた」という状態こそ、クライアントファーストの視点から見た理想的な姿だと思います。

                       

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