BLOG
囲い込み戦略の回避が最高のマーケティング手法である理由
経営者であれば囲い込み戦略を行いたいと誰もが考えることであり、ビジネスモデルの基本としても言われています。囲い込み戦略は座布団、ちゃりんちゃりんビジネス、固定客ビジネス、定期収入など様々な言葉にも使われています。
自転車操業と違い、何もしなくても安定収入を得られるスキームを作れると強固な経営基盤となります。メーカーや小売業以外にも、IT/WEB業界でも使われる言葉です。昔からある考え方ですが、最近囲い込みを意識しすぎて(ある程度有名な会社・有名なサービスでも)悪いサービスが増えてきているように思えます。
ある経営者の方と話をしていたときに「囲い込みができること」を前提に事業構想を練っていましたが、そこまで囲い込みを考えなくてもいいのではないかと思います。
囲い込み戦略をおススメしない理由は、囲い込みにはNo.1のプラットフォームを作るのが一番ですが、物凄く難しいからです。
まず値段設定が難しい。高いと拡大しませんし、安いと儲かりません。そして普及するまでの時間がかかります。
多くのベンチャー企業やスタートアップ企業は投資家やベンチャーキャピタルなど外部資本を入れて、数年間は赤字を覚悟して、上場したら黒字を目指すというストーリーを組んでいます。初年度から黒字化できている事業をあまり聞きません。
私としては囲い込み戦略をおこなわないことが最高のマーケティング戦略にもなると考えています。例えばクライアントのドメインやサーバー環境を自社で取得・管理することは囲い込み戦略になりますが、それしか選択できない場合は使い勝手が悪く、新規開拓のハードルが上がり、顧客数も増えていかないと思われます。
おそらく「ドメインって何?」という無知な顧客層にしか販売できないでしょう。また販売できたとしても「他社サービスを使われないために、わざと手間や手数料をとる」という仕組みは非常にクレームに繋がりやすいサービスモデルです。
解約の手順をわざとややこしくする、手続きを説明しない、連絡を無視する、解約手数料をとる、解約フォームを設けないといったサービスがいまだに多くあります。現在はネット上での評判も拡散され広がりやすく、致命傷になりかねません。
サービスを選択する基準として「他社サービスに移行しやすいか」「万が一の際にリスクヘッジできているか」が判断軸の一つになると考えています。これが難しい場合「それでも導入するだけの価値はあるか」になり、導入するまでのハードルが上がります。
囲い込みサービス系を利用しないことに対してのデメリットの比率の方が多くならないと導入に至りません。ただし、そこまでの価値を提供できるサービスはほんの一握りです。多くのサービスは差別化が難しく、競合他社と変わらないサービスと言えます。
余談ですが、サービスのスタートにあたって「まずは売ってから考える」「売上を確保しながら改善していく」という経営者も多くいます。サービスを販売しながらクオリティを高めるという考え方も理解できますが、スタート段階から一定のクオリティは必要だと思います。クライアントサービスの追及を企業理念にしているのに、サービスレベルが低い企業も多いですね。(予算の兼ね合いもあり、仕方がないと言えば仕方がないのかもしれませんが)
囲い込み戦略とは強制的におこなうものではなく、むしろ実行しないことが自社サービスのファンに繋がると思っています。最初から囲い込みありきで事業モデルを考えるより、「気づいたら独自サービスで自然と囲い込みができていた」というクライアントファーストの考え方が理想だと思います。