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株式会社LIB松本氏と新田龍氏の対立:人材業界で話題を集めた炎上事件
2016年上半期、人材業界で最も注目を集めたのが、株式会社LIB(リブ)の代表取締役・松本洋介氏と、ブラック企業アナリストとして知られる新田龍氏の炎上バトルです。
有名な経営者と、メディアにも登場する専門家の対立ということで、人材業界関係者や転職希望者の間で大きな話題となりました。この記事では、経緯や背景、私個人の感想を交えながら「人材紹介会社の信頼性」について考えてみます。
目次
株式会社LIBとは?
株式会社LIBは、女性のキャリア支援を強みとする人材紹介会社です。
代表的なサービスは会員制転職サイト「リブズキャリア」で、女性専門の転職エージェントとしても知られています。
2014年には株式会社リンクアンドモチベーションや株式会社クラウドワークスと資本業務提携し、業界内では「急成長中の転職エージェント」として評判です。
代表取締役の松本洋介氏は、リクルートを経てトレンダーズで営業担当取締役を務め、同社の上場に貢献。その後、独立して株式会社LIBを立ち上げました。
松本洋介氏と新田龍氏の炎上経緯
人材業界で大きな注目を集めた炎上事件は、株式会社LIB(リブ)代表取締役の松本洋介氏と、ブラック企業アナリストとして知られる新田龍氏の対立でした。
発端は新田氏がFacebookに投稿した内容で、人材紹介会社の信頼性やキャリアコンサルタントの在り方を問うものとなりました。
話題になったのはブラック企業アナリストの新田龍さんのFacebook投稿
炎上の発端は、新田龍氏がFacebookに投稿した内容でした。要点をまとめると以下の通りです。
- 転職エージェントA社の候補者を株式会社LIBに“鞍替え”させた
- 取引のなかった企業との新規契約を狙って動いたが、その間に求人ポジションがクローズ
- 候補者は転職チャンスを逃し、不信感を募らせる
- 株式会社LIBの担当者は説明が二転三転し、詫びを入れる前に「金は返す」と発言。他責的な態度を取った
- 候補者を引き抜いた後、A社に不利な発言をクライアントに伝え、中傷的な説明を行った
さらに「子育て中の女性の転職支援を断った」「無理に内定承諾を迫った」といった証言も投稿されています。
この主張に対し、株式会社LIBは株式会社キープレイヤーズ(代表:高野秀敏氏)と共同声明を発表。「候補者の鞍替え」については認めたものの、円満解決している旨を主張。その他の内容は否定しました。
新田龍氏の公開質問状とその後
これに対抗する形で、新田龍氏はFacebook上で公開質問状を投稿しました。
新田氏は「具体的な証拠データに基づいている」と主張し、株式会社LIB側の否定を強く批判しています。
松本洋介氏は「事実に反する」と述べたものの、実際に社内で全てのクライアント対応を確認できる体制ではないことから、真相は不透明です。
社長に「悪い対応をした社員はいるか?」と尋ねても、当事者が素直に手を挙げることは考えにくく、内部調査の限界があるのも事実です。
新田氏も「何を根拠に事実無根としているのか? まさか<社員に聞いたら誰もやっていないと言ったから>ではないだろう」という意味で、公開質問状を送ったんじゃないかと推測しています。
2016年5月時点でLIBからの正式な回答はなく、炎上騒動の真偽は不明なままです。この沈黙がさらに「転職エージェント業界の透明性」や「人材紹介会社の信頼性」に対する疑念を深める結果となりました。
転職エージェントの強引な対応についての私の見解
人材業界に身を置く者として、今回の件について感じたことを整理します。
まず「新規取引を狙った動き」は、エージェントであれば珍しいことではなく、事実だとしても大きな問題ではないでしょう。取引先の社内事情や稟議の遅れによって、案件がクローズしてしまうのはよくある話です。
ただし問題は「キャリアコンサルタントの対応姿勢」です。候補者の信頼を損なう発言や、他責的な態度は業界全体の評判を落とす行為です。人材紹介業は「候補者の人生を預かる仕事」だからこそ、より高い誠実さが求められます。
強引なキャリアコンサルタントは業界全体の課題
今回の炎上はLIB特有のものではなく、どの人材紹介会社でも起こり得るリスクです。
リクルートやパソナのような大手でも、キャリアコンサルタントの数が多い分、相性の悪さや対応品質のバラつきは存在します。
人材業界では「売れているコンサルタントは100人を同時に担当する」と言われることもありますが、候補者からすれば雑な対応は納得できません。
組織の体制や数字目標のプレッシャーがあるにせよ、強引なクロージングや不誠実な言動は「ブラックな転職エージェント」として認識される大きな要因になります。
どの人材紹介会社でも起こり得る可能性
今回の炎上を見た率直な感想は「こういうキャリアコンサルタントはどの人材紹介会社にもいそう」と思いました。
発言内容自体は確かに行き過ぎていましたが、人材紹介業界に限らず、責任転嫁する担当者はどんな企業にも一定数存在します。そのため「この会社だけが特別に悪い」というより、業界全体が抱える課題として捉えるべきかもしれません。
先日、別業界の新卒の方から「人材業界はブラックな印象がある」と言われ、同じ業界で働く者としてショックを受けました。こうしたトラブルや炎上が、人材紹介会社=ブラックというイメージを強めている原因なのだと思います。
株式会社LIB(リブ)のケースから考える
仮に新田龍さんの指摘が事実だとすれば、株式会社LIB(リブ)のキャリアコンサルタントの発言は行き過ぎだったと言えます。
ただ一方で、キャリアアドバイザーが目標数字を追いかけるのは人材紹介会社として避けられない現実です。候補者の立場から見れば「理解しがたい」と感じるかもしれませんが、営業職的な要素を持つ以上、完全に切り離すことはできません。
また、株式会社LIBは「時短支援」や「女性活躍推進」を掲げており、求職者の期待値が高いのも事実です。しかし、全ての候補者が希望通りの年収・企業に転職できるわけではありません。期待とのギャップが不満や不信感を生み、それが「人材紹介会社はブラックだ」という評価につながってしまうのだと考えられます。
まとめ:人材紹介会社に求められる信頼性
人材紹介業界全体が「ブラック」というレッテルを貼られないためには、キャリアコンサルタント一人ひとりが信頼される対応を心がける必要があります。
特に「女性が活躍する社会を創る」というビジョンを掲げる株式会社LIBのような企業は、より一層、候補者目線の誠実なサービス提供が期待されています。
今後も人材紹介会社が本来の役割である「転職支援」「キャリアサポート」を果たし、求職者が安心して相談できる存在になることを願っています。