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メタバースオフィスの可能性と懸念事項
雑記・日記・備忘録新型コロナウイルスの流行以降、世界的に在宅勤務(リモートワーク)が増加しました。そんな中、国内外の企業において『メタバースオフィス』という仮想オフィスサービスが密かに注目を集め始めています。
今回は、アメリカの1,500社の雇用主と1,500人の従業員を対象に、ExpressVPNとPollfishがおこなった、企業や従業員がメタバースオフィスで働く可能性を、どのように考えているかの共同調査について、見ていきたいと思います。
メタバースオフィスとは
メタバースオフィスとは、メタバースの技術を活用した仮想空間上のオフィスを意味します。社員はアバターを利用し、仮想空間上でコミュニケーションをとることができます。日本国内でも『オヴィス』『オアシス』『リサ』『ライブワーク』といったサービスがあります。
オヴィス導入企業は、22年3月末時点で約2千社に上っており、エン・ジャパンなど大手企業も導入を始めています。矢野経済研究所は仮想オフィスツール市場が2025年度までに180億円に拡大すると見通している成長市場です。
メタバースオフィスは、リモートワーク特有の同僚や上司とのコミュニケーション不足が解決できると期待されています。一方で仮想オフィスという新しい働き方に疑問や抵抗を感じる人も多いでしょう。
調査結果まとめ
- ● メタバース理解度:雇用主69% vs 従業員42%
- ● メタバース関心度:雇用主77% vs 従業員57%
- ● メタバースによるデータ収集の懸念:従業員63%
- ● 職場の監視に関する従業員の懸念事項:リアルタイムの位置情報の追跡、リアルタイムの画面監視
詳細な調査結果とデータは、ExpressVPNから。
コロナで職場はオンラインへ
調査対象の多くの従業員(60%)が、リモート、または出社とリモートワークを組み合わせたハイブリッドワークで仕事をしており、この数字は今後さらに増加する見込みです。
また、多くの企業が将来的にハイブリッド環境へ移行することを計画しており、将来的にはオフィスでの仕事環境はさらに少なくなることが予想されます。
職場がオフィス以外の環境に移行しつつある中、多くの従業員と雇用主が、テクノロジーの進歩により、オンライン環境でも生産性を高め、同僚とのつながりを感じられるようになったようです。同僚とのつながりを最も感じられるコミュニケーション手段として、ビデオ会議、対面でのミーティング、メッセージ、メールがあります。
調査結果では従業員(57%)と雇用主(77%)の両方がメタバースオフィスに興味を示していますが、雇用主の方が圧倒的に関心が高いことがわかります。
企業と従業員のメタバースに対する考えにギャップ
雇用主の7割以上が、メタバースオフィスに興味を示す一方、従業員は57%に留まり、不安を感じている声も多くあります。
メタバースで働くメリットは、45%の従業員が在宅勤務(テレワーク)が可能になることと答え、次いで同僚とのコラボレーションが向上すること(36%)、仕事の機会が増えること(33%)、バーチャル出張ができること(33%)と答えています。
メタバースは、職場の監視を強化する可能性
在宅勤務の増加に伴い、雇用主が従業員を監視する方法として従業員監視ソフトウェアが普及していますが、メタバースは監視活動の可能性をさらに高めることになるでしょう。
既存の監視について目を向けてみると、73%の雇用主が現在従業員を監視していることを認めています。しかし、現在の職場で監視されていると考えている従業員は、調査対象の55%に過ぎません。
職場の監視に関する従業員の懸念は、リアルタイムの位置情報追跡(51%)、リアルタイムの画面監視(50%)、勤務時間の追跡(47%)が上位を占めています。
一方、雇用主はメタバースオフィスでの会議の録画(42%)や、従業員が懸念する勤務時間の追跡(39%)、リアルタイムの位置情報の追跡(39%)、画面の監視(39%)に最も関心を示しています。
従業員を監視することは、メタバースオフィスを受け入れる意欲を損なうことになりかねません。
若い世代はメタバースを職場として受け入れる可能性が最も高く、雇用主の監視やプライバシーを懸念する可能性は最も低い
若い世代であるZ世代は、メタバースへの興味が他の世代より高く、また、メタバースが自分の仕事のパフォーマンス(66%)と生産性(63%)に良い影響を与えると答える傾向にあります。
一方、米国のベビーブーマー世代は、メタバースによって在宅勤務が可能になること(60%)に最も関心を持っているのに対し、Z世代は36%にとどまっています。
調査結果によると、ベビーブーマー世代(53%)、X世代(47%)、ミレニアル世代(46%)に対して、Z世代はメタバースにおける雇用主の監視(29%)やデジタルプライバシーとセキュリティ(40%)への懸念も最も低いという結果が出ています。
まとめ
メタバースは、日本でも東京大学がメタバース工学部を設立するなど、耳にする機会も増えてきた話題です。今回の調査のように、まだ一般的な理解が低く、それによる不安がある人も多いでしょう。
しかし、家庭や健康の事情でオフィス出勤が難しい人にも、家からオフィスにいるような職場環境で働けることは、多くの人にとって今までよりも仕事の機会が広がるのではないでしょうか?
企業側も、従業員からの理解を得るために事前に知識を共有し、お互いに安心して働ける環境を作っていけるといいですね。