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【炎上人事】株式会社ノースサンドを求人屋視点で考察
雑記・日記・備忘録コンサルティング事業を中心に展開する株式会社ノースサンド(東京都中央区銀座/代表取締役:前田知紘)人事担当の大塚さんのツイッターの発言が炎上していました。
新卒採用担当を採用したいと思い、沢山の方にご応募いただいているのですが、給与や待遇にこだわりのある人とは働きたくないのです。。。
私は、会社の顏となる人事だからこそ、待遇/給与で会社を選ぶ方と働きたいとは思わない。
— 人事の大塚さん@株式会社ノースサンドって知ってる? (@nshr_otsuka) January 31, 2022
新卒採用担当を採用したいと思い、沢山の方にご応募いただいているのですが、給与や待遇にこだわりのある人とは働きたくないのです。。。私は、会社の顏となる人事だからこそ、待遇/給与で会社を選ぶ方と働きたいとは思わない。
投稿直後から賛否両論が巻き上がり、「言い方がまずい」「ヤバい会社だ」「ブラック企業すぎる」「謎マナーの強要」「やりがい搾取」「新手の炎上マーケティング?」といった意見から始まり、大手メディアでも「実名アカウントの炎上リスク」をテーマに取り上げられる結果になりました。
私は他の方々とは違う部分が気になりましたので、気になった点をまとめました。
給与や待遇にこだわりのある人とは?
まず気になったのが「給与や待遇にこだわりのある人」と投稿することになった背景は何があるのか?です。
エントリー時点で給与や待遇面について細かく確認をする人がいたのか、面接で給与や待遇にこだわりを見せる人がいたのか、それとも唐突に自分のお気持ちを表明されただけなのか…(・・?
なにをもって「給与や待遇にこだわりのある人」と認定したのかが気になりました。そもそも年収360万円の求人に対して、給与にこだわる人が応募するのか疑問が残ります(むしろ360万円の求人だからこそなのか?)。
給与や待遇にこだわる人は活躍できない論
長年、求人広告屋をやっていると採用担当者から「待遇や給与にこだわる人に使える奴はいない」という言葉をたびたび聞きます。採用担当者も長年の経験から結論に至った考えなので信憑性が高いです。大塚さんの投稿をみたときに、その言葉がよぎりました。
一方で、プロフェッショナルだからこそ活躍に見合った報酬は支払われるべきという意見も正論です。「待遇や給与にこだわる人に使える奴はいない」説を、私なりに解釈すると「みずからの義務を果たさずに、給与や待遇など権利だけを主張する人は活躍できない」と言いたいのではないでしょうか。
採用企業と労働者という二つの立場がある中で、お互いみずからの義務を果たさずに権利だけを主張するのは避けたいですね。給与が全てという価値観の人ならフルコミッションの生命保険会社かハウスメーカーへの応募をおすすめしてあげると親切です。
面接中の給与や待遇に関する質問が多い人
世間一般では面接中に給与や待遇に関する過度な質問は避けるべきという謎マナーが存在しますが、私としては大歓迎です。むしろ質問されなかったら面接官側から話を振るべきだと思っています。
なぜなら勘違いしたまま入社してほしくないからです。これはお互いにとって無駄です。業務委託のケースになってしまいますが過去に「もしも例外的に〇〇のケースだったら支払いはどうなるか?支払いの流れは?」まで質問されたケースがあります。
本人からは「お金の話ばかりしてしまい申し訳ありません」と言われましたが、不快に思うどころか「色々と気になる点を事前に質問してくれて助かります」と伝えました。
入社後に「そんなことは聞いていない!」「わざと隠したな!」と揉めるのが一番面倒だからです。事前に説明できていれば「ちゃんと説明したし、あなたも納得してサインしましたよね!」と強く言えるので、条件面についてこまかく確認されるのはメリットしかありません。
募集要項の説明不足からくる勘違い説
人事担当の募集ではないですが、年収500万円~1000万円と超幅の広い求人も募集されているノースサンド社。私は凄く気になりました。何故これほど給与の差があるのか。インセンティブによるものなのか。
インセンティブならどのような評価制度なのか、採用ホームページでは評価制度に関しては一切説明されていないので面接で質問するしかありません。これらを「こだわりのある人」と評価していたとしたら間違っていると感じました。
また、ノースサンド社の福利厚生欄には介護休暇・リフレッシュ休暇・生理休暇といったことが書かれています。しかし、制度名しか書かれていません(ハーモスの設計上そうなってしまんですが…)。
制度としてはあるけど活用されていない(活用できる雰囲気ではない)制度は沢山あります。某社では生理休暇の制度は存在しているものの「申請が恥ずかしくて利用できない」として利用している社員は皆無だとか…。
こうした福利厚生はただ書くのではなく、利用状況も合わせて書いたほうが親切ですが、ノースサンド社は出来ていません。これらを質問する候補者に対して「こいつ福利厚生に凄いこだわりがあるな~」とマイナス評価するのは間違っていると思います。
今後のノースサンドの評判と採用難易度
今回の件で「給与を全く気にしない人」しか応募しなくなると思いますが、「給与にこだわりがある人」はNGとのことなので、候補者を絞れるので良いことではないかと思います。
人事ポジションの募集要項を拝見すると、社会人2~3年やって「キャリアチェンジしたい」「営業はキツイから内勤にいきたい」といった思考の第二新卒を対象にしているようです。マイナビやエン・ジャパンの中途採用領域の法人営業経験者なんかは歓迎されると思います。
未経験可の採用担当なら応募者も多いと思うので(実際にたくさんの応募が集まっていると言っていますし)、それほど心配することでもないかなと。口コミ評判が大荒れ状態ですが、正社員採用が難しいなら業務委託で副業人事に任せてもいいと思います。
ハーモスのせいで謎に包まれた公式サイト
株式会社ノースサンドは株式会社ビズリーチが提供する採用管理クラウドツール「ハーモス」を導入していますが、使い方間違えてる気がします。
というのもコーポレートサイトに二つの採用ページが存在します。一つはハーモスで作られた求人一覧ページ。もう一つはビジョンや福利厚生の説明が書かれたページ。ややこしい…(-_-;)
おそらく既存の採用ページにプラスして応募者管理ツールとしてハーモスを契約したと推測できますが、ユーザー側からしたら間違いなく混乱します(ハーモスの求人ページしか見ない可能性が高い)。少なくとも私はなんだこれ?と思いました。
人事はラクできるが応募者が混乱するサイト、人事は大変だが応募者に親切なサイト、メリットデメリットを理解しているのか心配になります。
まとめ
それつまり、募集要項には記していないってことですよね?最悪ですよ。
面接に来ていきなり「募集要項には書いてないけど、実はこういう人を求めてる」とか言い出すつもりですか?最悪中の最悪は採用してから
「面接でも言わなかったけど、実は…」ってパターンだけど、まさか……やってませんよね?— あのこのきなこ (@anokogam) February 1, 2022
大塚葵さんを擁護すると、該当ポジションの募集要項の求める人物像に「ノースサンドのビジョンに強く共感し、同じゴールを見据えビジョン実現に邁進できる方」と書いてあります。ビジョン採用のスタンスの割には、ビジョンの説明少なくないかとも思いましたが(^_^;)
↑で指摘されているケースでトラブルになった会社をたくさん見てきたので、求人広告屋としても肝に銘じたいと思いました。