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住友商事の性的暴行事件再発防止策から考えるOB訪問の存在価値
雑記・日記・備忘録2020年12月、株式会社リクルートコミュニケーションズの社員が警視庁に準強制性交等の容疑で逮捕されました。
就活中の女子大生に性的暴行を働いた卑劣な手口として、OB訪問アプリ『OBトーク』を悪用していたことが明るみになりました。過去には大林組、住友商事の社員が、OB訪問してきた女性に対して性的暴行事件を起こすなどOB訪問の意味や存在価値が問われています。
住友商事のガイドライン
住友商事では2019年に住友商事の社員が、OB訪問にきた女子学生にたいして起こした性的暴行事件をうけ、再発防止として下記のガイドライン(一部抜粋)が定められました。
①入社3年未満の社員がOBOG訪問を受けることは禁止する。
②就職活動生との飲酒は、いかなる場面でも一切禁止とする。
③OBOG訪問対応時間は平日13:00~18:00に限定する。
④OBOG訪問の場所は原則、社内施設とする。
⑤OBOG訪問を受ける際には、メールで事前届出をおこなう。
⑥OBOG訪問の予定はスケジューラーに「公開」で登録する。
➆就職支援企業が運営するOB訪問マッチングアプリの利用は禁止。
上記のルールで7番が気になりました。
住友商事はビズリーチ・キャンパスと提携していましたが、ビズリーチを含めたすべてのマッチングアプリ経由でのOB訪問が禁止になりました。
しかしながら、これを読んだとき非常に中途半端なガイドラインだと思いました。なぜなら学生がアプリでOB訪問をする根本的な問題が解決できていないからです。
住友商事が抱える問題点
現状の問題点とは「より厳しくなったけど、どうしたらOB訪問できるの?」が解決されていない点です。
そもそもOB訪問マッチングアプリの存在意義とはなんでしょうか? それは「特定企業とのコネクションがない学生でもOB訪問を可能にする」ツールとして価値があります。
従業員となんらかの繋がりがある学生には何の影響もありませんが、なにもコネクションがない学生には大打撃。住友商事の本社にアポなしで突撃すればよろしいのでしょうか?
私が人事部なら「OB訪問申込フォーム」を作って完全に管理します。この申込フォーム以外のOB訪問は一切禁止にすることを採用ホームページなりで告知することで、より管理しやすいでしょうし、学生にも親切です。
今後似たような問題が起きても「ガイドラインがあるので会社側に責任はない」という言い訳づくりで作った、と思われても仕方のない対応だと思います。
こうした理由から私は住友商事が再発防止策として打ち出した実施要領は、表面だけを取り繕った対応と言わざるを得ません。
※もしかすると住友商事の問い合わせフォームから相談するぐらい強い志望動機をもっているのかどうかを試しているのかもしれません。
人事部採用チームの仕事も大変
一方で、人事側が「OB訪問まで人事部で管理できないよ」と言われても理解できます。住友商事クラスになると年間でどれくらいでしょうか。かなりの人数になると思いますし、それを人事部が一括管理するには莫大な時間がかかることも予想できます。
人事部の業務範囲が複雑化・高度化している中で「人事部でOB訪問まで管理できない」のが本音でしょう。住友商事も承認制ではなく、届出制にしていることからも、人事部の悩ましい事情が垣間見える気がします。
そもそもOB訪問は本当に必要なのか
さて、就活セクハラを防止するためにOB訪問は人事部が管理すべきなのかどうかの私見をのべましたが、そもそもOB訪問は必要でしょうか? 私としてはOB訪問という仕組み自体が時代遅れだと思います。
なにより「OB訪問しないと現場の声が聞けない」ということ自体がおかしな話です。学生のOB訪問を若手社員に任せて放置していた会社もありますが、もはやアナログな就活方法は時代にそぐわないことを理解したほうが良いでしょう。
丁寧に採用ホームページで部署や職種別に仕事内容を具体的に説明すれば就活生も企業理解が深まりますし、ユーチューブを利用して対談形式にしてもわかりやすいでしょう。社員のリアルな声を知りたいなら転職会議やオープンワーク等の口コミサイトを調べれば様々な観点のクチコミが並んでいます。
一昔前は、企業側の情報発信がそこまでされていなかったのでOB訪問の必要性がありましたが、現在は情報発信しないと、母集団形成ができないとあって各社とも積極的に情報発信+インターン受け入れをしています。
百歩譲ってOB訪問するとしても、ズームを活用したオンラインで十分。すでに新型コロナウイルス流行への対策として実施している企業が大半かと思いますが、コロナウイルスが終息してからもオンラインが主流になるでしょう。
まとめ
OB訪問を含めた就活セクハラ問題は15年以上前から毎年のようにニュース報道されています。よく口コミでは「氷山の一角」と言われていますが、私自身もそう思います。
住友商事は厳格なルールのもと継続する判断をされましたが、就活セクハラ問題を無くすために「OB訪問はやらない」判断をするのも勇気だと思います。企業側にはインターネットを活用し、より丁寧で具体的な情報発信をしてもらいたいと願っています。
なおリクエストエージェント宛にOB訪問をしたい方は、お問い合わせフォームよりご相談くださいm(__)m