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Welq(ウェルク)問題から考えるメディアの在り方と組織論
東証一部上場企業のDeNA(ディー・エヌ・エー)が運営する話題の医療情報キュレーションメディア「WELQ(ウェルク)」が話題になっています。私もオウンドメディア関連に携わっている立場として色々と考えさせられました。メディアとはどうあるべきか、考えてみました。
炎上の経緯
医療情報キュレーションメディアという信頼性が重視されるメディアにおいて、医療知識がない素人が書いており、それに対して編集部がチェックしていないという杜撰な運営体制が批判されました。
もちろん記事の内容も間違いだらけであり、結果的にユーザーを騙していることに繋がっています。またウェルク編集部は積極的にパクリ記事を推奨しており、リライト行為が中心だったのも批判の対象となっています。
見習うべきポイントもある
実はWELQ(ウェルク)には医療情報というコンセプトですが、転職や求人情報系記事も多数掲載されています。弊社が狙っているキーワードとは被りませんが、大手メディアが欲しがっている主要キーワードでの上位表示が多数見受けられました。
ウェルクは薬事法や著作権侵害など様々な問題を抱えていますが、SEO対策という意味では成功しており、オウンドメディア運営者としては見習うべきポイントもあります。特にWELQでは1日に100記事以上書いていた組織体制・内部マニュアルには驚きました。
報道によると2015年10月に約1千本だった月間の目標記事数は、翌月1800本に上がり、16年8月ごろには4千本前後に設定されていたそうです。すさまじい生産体制ですね。
必須スキル経験の是非
ネット上で仕事を仲介するサービス、「クラウドソーシング」で記事を外注。「知識のない人でもできる仕事です」として、専門外のライターに記事を書かせていた。原稿料は異常なほど安く、500文字・1000文字で300円から500円程度、比較的単価の高い医療系でも1文字当たり0.5円程度だった。
引用:DeNA「WELQ(ウェルク)」休止…まとめサイトの問題点と背景は
https://www.yomiuri.co.jp/science/goshinjyutsu/20161212-OYT8T50096.html
そのWelq(ウェルク)の記事はクラウドワークスやランサーズで募集をかけた1文字0.5円のレベルでWebライターが作り上げています。2000文字で1000円とかの単価らしいです。安!と思いましたが、実際に応募する人は多いんでしょうね。このことから、オウンドメディアに専門性をもったライターは必要ないのでは?と考えさせられました。
たまにオウンドメディア運営のクライアントから「知識経験が豊富な専門性の高い人だけ採用したい」「〇〇業界の〇〇という職種を経験した人を採用したい」という要望を受けます。しかし、Welq(ウェルク)の成功事例から考えるに経験なんて必要ないことがわかります。本当にセンスのあるライターは何でも書けます。
もしくは編集機能が優秀であれば何とかなります。典型的な例として元リクルートOBで構成されている編集プロダクションが当てはまります。私の知っている会社はリクルートブックの制作・進行・企画に携わってきたメンバーが在籍しているだけあってマルチに活躍しています。
経験者の必要性
一方で、経験者だからこそ書ける肉厚な記事もあります。グーグルから評価されるのはオリジナルの内容が書かれている記事で、パクリ記事は基本的に評価されません。そのため経験者が必要だという意見もあり、これはこれでその通りだと思います。現場で経験した体験談はその人しか書けません。
よくある組織の問題
ファウンダーの南場智子氏はコンプガチャ問題から、公平性や透明性を意識した事業展開を進めると『不格好経営』に書かれていましたが、実態はかけ離れていることもネットでは追及されていました。
家族の病気療養のために第一線を引退した経験から医療健康系事業への参入を決めたと思っていましたが、実態は間違った情報をネットに流布させ、混乱に陥れているのが事実です。ただ本人は運営方法にまでタッチしておらず、もしかしたら何も知らなかったのではないかと思っています。
現場のスタッフには同情する部分があります。当たり前ですが目標数字があるわけで、それを追い求めなければいけません。「公平性は保ってね」「PV数は達成してね」という現場からすると矛盾した目標を提示されているではないかと考えたら、少し同情しました。
公平性は数字で表せませんが、PV数は100%数字です。現場スタッフが、どちらを優先するかは明白ですね。すべて私の推測ですが、こういった組織の矛盾はよくある話です。
まとめ
今回の騒動でようやく専門家による監修を入れることになりましたが、実態を伴わないポーズだけではと言われています。看板倒れで言っていることとやっていることがかけ離れている企業は応援したくないですね。健全で安心な企業になってくれることを願っています。