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ソーシャルリクルーティングとは?SNS採用の現状と今後の展望
SNSの普及に伴い、採用活動にも大きな変化が訪れています。その代表例が「ソーシャルリクルーティング(SNS採用)」です。
FacebookやTwitter、Instagram、LinkedInなどのSNSを活用し、企業と求職者が直接つながるこの手法は、採用コストを抑えながら質の高い人材と出会えるとして注目されています。
本記事では、ソーシャルリクルーティングの定義や特徴、国内外の事例、日本で普及が遅れた理由、導入メリット、そしてHR×IT時代における今後の展望まで詳しく解説します。
目次
ソーシャルリクルーティングの定義と特徴
ソーシャルリクルーティングとは、Facebook、Twitter、Instagram、LinkedIn、YouTubeなどのSNSを活用して人材採用を行う手法です。近年では「SNS採用」とも呼ばれ、企業の採用活動において重要な位置を占めつつあります。
従来の求人媒体と異なり、SNS上のコミュニケーションやネットワークを活用することで、求職者との直接的な接点を持ちやすく、企業文化や雰囲気を発信しやすい点が特徴です。
世界と日本における普及状況
アメリカではすでに一般的な採用手法の一つとして定着しています。
JOBVITE社の調査(2010年)によると、企業の73%が広義のSNSを採用活動に活用しており、「ソーシャルリクルーティングを知らない」と答えた割合はわずか3.5%でした。LinkedInやXingなどのプロフェッショナルSNSが早くから普及したことが背景にあります。
一方、日本ではSNS採用の浸透が遅れましたが、近年はデジタルネイティブ世代の社会進出やSNS利用率の向上を背景に、導入企業が急増しています。
求人情報は100年でどう変わったのか?
突然ですが、皆さんは以下の求人広告をご存知でしょうか?
MEN WANTED for Hazardous Journey.
Small wages, bitter cold, long months of complete darkness, constant danger, safe return doubtful.
Honor and recognition in case of success.Ernest Shackleton
「求む男子。至難の旅。僅かな報酬。極寒。暗黒の長い日々。絶えざる危険。生還の保証無し。成功の暁には名誉と賞賛を得る。アーネスト・シャクルトン」
これは約100年前に公開された、おそらく世界で最も有名な求人広告と言われているものです。それから100年近くの間、基本的には「企業が求人募集を媒体に出し、求職者が応募する」という採用手法は大きく変化はしてきませんでした。
しかし、インターネットの普及により求職者が収集できる情報量は何億倍にも増え、人の趣味趣向は年々細分化され、仕事・ライフスタイルに対する考え方も多種多様になりました。
さらにはYahoo!を始めとした「Portalの時代」、Googleに代表される「Searchの時代」、そしてFacebookの「Socialの時代」と、インターネットの歴史そのものも5年周期で3つの大きな変化を迎え、その変化に連動する形で個人の就職・転職活動と企業の採用活動の手法も大きく変化してきました。
日本の変化が遅れた3つの理由
日本における普及が遅れた背景には、以下の3点がありました。
- 実名登録SNSへの抵抗感
個人情報や職歴をオンラインに公開する文化が浸透していなかった。
- 転職活動に対する文化の違い
終身雇用を前提としたキャリア観が根強く、転職市場自体が小規模だった。
- 人材ビジネス企業による充実したサービス
求人媒体や人材紹介サービスの利便性が高く、SNS採用への切り替えニーズが低かった。しかし、2010年以降はFacebookやTwitterの普及、働き方の多様化、海外文化の影響などにより、状況は大きく変わりました。
ソーシャルリクルーティングのメリット
SNS採用の活用によって、企業は以下のようなメリットを得られます。
- 国境や国籍を超えて優秀な人材にアプローチできる
- 広告費を抑えつつ効果的に候補者へ情報を届けられる
- 従業員の友人・知人ネットワークから信頼できる候補者を見つけられる
- 将来採用したい人材とも継続的に関係を築ける
- 企業文化や職場の雰囲気を発信し、マッチ度の高い人材を集められる
これらは従来型の求人広告や人材紹介では得にくい成果であり、採用の質向上と離職率低下にもつながります。
スタートアップが牽引した国内事例
日本では2011年頃から、Facebookページに求人票を掲載できる「ソーシャルジョブポスティング」など、SNS採用支援サービスが次々と登場しました。
当時、大手人材会社は既存ビジネスモデルに縛られ参入が遅れる一方で、スタートアップ企業が新しい採用モデルに挑戦し、市場を切り開きました。こうした動きを後押ししたのが、ベンチャーキャピタルによる投資です。
HR×IT時代への進化
ソーシャルリクルーティングは、単なる採用手法から「HR×IT」領域へと進化しています。
LinkedInのようなプラットフォームは、採用だけでなく人事データ管理や企業ブランディングにも活用され、SNS採用サービスから総合的な人事テクノロジーサービスへと発展しています。
今後はAIによる候補者マッチング、インタレストグラフやライフログ活用など、より高度な採用支援が進むでしょう。
今後の展望
国内外の事例からも、ソーシャルリクルーティングは今後さらに拡大すると予測されます。
求職者はSNSで企業情報を収集し、企業はSNSを通じて候補者とつながることが当たり前の時代になります。まだ導入していない企業は、小規模なSNS採用施策から始めて、自社に合った運用方法を見つけることが成功の第一歩です。