BLOG
元小学生ユーチューバー・ゆたぼんの不登校宣言から考えるキャリア論
雑記・日記・備忘録YouTube「少年革命家ゆたぼんチャンネル」を運営している、ゆたぼんの「中学校に行く気はない」という不登校を宣言した発言が様々な議論を呼んでいます。
賛成派の意見は「本人の意思は尊重されるべき」「学ぶことと登校はイコールではない」「ホームスクーリングという選択肢がある」として擁護し、反対派は「学校は勉強以外にも友人関係など学ぶことが多い」「学校というシステムは勉強することに効率的」「同世代と交流しないと社会性が育たない」などがあります。
様々な議論が生まれていますが、今回は教育的観点からではなく、キャリア的観点から中学校の不登校問題について触れていきたいと思います。
転職活動で高校までの学歴は意味がない
まず転職活動では小学校や中学校の不登校の有無は全く聞かれませんし、そもそも小学校名や中学校名を書く必要すらありません。メインは最終学歴で、大半の方が大学名を履歴書に書くことになります。その大学も「大学でなにを専攻したか」といったことは全く重要視されておらず、形式的に書かせているだけにすぎません。
転職活動で重要視されるのはこれまでの営業実績などの実務経験や、プログラミングなどのスキル能力が大半になり、学歴の価値はかなり低いです。そうした意味では小学校や中学校で不登校だったとしても全く問題ないと言えます。
あえて企業の採用代行もおこなっている私の立場から言わしてもらえば、高校に進学しなくてもいいから、高卒認定試験(旧大検)に合格し、しっかりとした大学を卒業したほうが将来的な選択肢が広がることを知ってほしいと思います。
なぜなら新卒・中途ともに大手企業に入社するには大卒が必須条件だからです。いくら勉強ができ、本人の能力が高くても書類選考を通過することができません。転職エージェントに登録しても推薦してもらうこともできません。中卒や高卒はキャリア選択の幅が非常に制限されてしまう現実があります。
ただ、ゆたぼんさんはすでにメインのチャンネル登録者13万7000人と、ユーチューバーとして結果を残しており、今後もユーチューバーとして活躍することを決意しているのであれば、大学に進学する価値は低いと言えます。
将来的に別の道に進むとしても現在のユーチューバーとしての経験や知名度を生かすことができるでしょう。彼には自ら機会を創り出し、機会によって自らを成長していってほしいと思います。
10代のうちからキャリアを考えるのが大切
ここからは10代のキャリアについて個人的見解を述べていきたいと思います。
20代のビジネスパーソン向けにキャリアコーチングサービスを展開している方とお話した際に話題になりましたが、日本の教育システム(特に義務教育)では小学校から大学までの期間で自分に合った仕事を探す機会がほぼありません。
おそらく大半の方が学校で「こんな面白い仕事があるよ」「この仕事はこんな大変な部分があって泥臭い仕事なんだよ」と教えてもらったことがなく、「とりあえず高校(大学)に進学しましょう」と教えてもらっていたのではないでしょうか。
学校にもよりますが、中学や高校の教育では仕事(キャリア)について大学に丸投げしている感が強いと感じていますが、その大学も勉学の場であるため、キャリアについて真剣に考える機会が就職活動ぐらいしか存在していません。
その就職活動も様々な課題を抱えています。厚生労働省が発表している学歴別の就職後3年以内離職率の推移データを見ると、多少の前後はあるものの大卒者の就職後3年以内の離職率は約30~35%(※)の推移が20年間続いています。
10年前くらいからインターンシップ(職業体験)が一般的になってきましたが、離職率の数字を見る限りでは、インターンシップが自分に合った仕事探しに役立っているとは言い難い状況です。
転職相談の専門家に話を聞いたところ、市場環境が変化するスピードが上がり、副業やフリーランスなど働き方が多様化している中で、「今の仕事を続けていいのだろうか」「どの職種または業界が自分に合っているのかわからない」と不安を抱えている方が多いとのことです。
もっと早い年齢のうちから様々な職業について学ぶ機会や、仕事・労働に対する正しい知識を身に着ける機会があったほうがいいと思いますが…現在の日本の教育システムではなかなか難しいようです。
今回ゆたぼんさんが自発的に自身のキャリアを意思決定しましたが、10代から20代の若者も自分自身のキャリアについて、将来どうなりたいか真剣に考えてくれればいいなと思いました。
まとめ
転職市場では常に年齢という条件がついてまわるため、30代未経験から新しいことにチャレンジしようとしてもかなりの制限があります。一方で、ゆたぼんさんはまだ12歳。仮にこれから新しいことに失敗しても、十分すぎるくらい挽回できるチャンスは残されています。
ゆたぼんさんのようにキャリア戦略を持って自らの人生の軸を明確にし、まっすぐに生きられる人が一人でも増えることを願っています。
新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移-厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137940.html