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アルバイトに知ってほしい最低賃金とブラック企業の話
採用手法・採用知識先日、とある社会人の男性がブラック企業(ブラックバイト)について気になる発言がありました。それは「最低時給で募集しているところはブラック」といった趣旨の発言です。どうやら最低時給が搾取に繋がっており、安価に労働力を吸い上げているのが問題だと言いたいようです。
求人広告を生業としているので様々な企業の採用活動をお手伝いしていますが、この問題について整理したいと思います。
低賃金をブラック企業と思わないでほしい理由
ブラック企業またはブラック会社とは、広義としては暴力団などの反社会的団体との繋がりを持つなど違法行為を常態化させた会社を指し、狭義には新興産業において若者を大量に採用し、過重労働・違法労働・パワハラによって使いつぶし、次々と離職に追い込む成長大企業を指す。
ウィキペディアでブラック企業の定義を調べてみました。給与(低賃金)については触れていないですね。
まずはっきり伝えたいのは最低時給(または低賃金)で募集することは違法ではありません。法律的に全く問題ないため、ブラック企業と決めつけてしまうのは問題だと思っています。
地域性や業種業態によっては利益率が低く、高時給にできない雇用主もいます。最低時給は年々上昇していますが、「地域密着でやっている世田谷区の小さな会社にとっては死活問題」「埼玉だと時給1000円が限界。それ以上だと赤字になるから雇用できない」との声もあります。
会社の内部留保を高めるために人件費はできるだけ低く抑えるのは経営として当然の選択です。経営者だけが贅沢してしまうと問題がありますが、財務状況を健全化するために人件費は抑制されやすい部分ですね。
大学生やフリーターの人に知ってほしいのが、業種業態によっては利益率を考えると採算ラインが結構ギリギリな店舗(業種)もあります。逆に時給が高いと記入ミスや嘘ではないかと心配になるくらいで、時給を上げたくても上げられない場合があります。
給与は絶対に誤魔化せられない項目
給与は隠しようがない部分で、ブラック企業と言えど隠したまま雇用することはできません。雇用契約書(労働条件通知書)は義務なので給与の項目で確認することができます。
ブラック企業でよくある声が「入社したら聞いていた話(仕事内容や福利厚生)と違った」がありますが、こと給与においては絶対に確認できます。
サービス残業とかインセンティブの条件が違うといった基本給以外の部分で揉めることはありますが、基本給自体で揉めることはありません。ブラック企業と言えど給与は誤魔化しができない部分だからです。もしも違っていたら最寄りの労基署に雇用契約書とタイムカードと給与明細書を持参して訪問しましょう。
もしも給与に不満があっても、本人が同意しているためブラック企業と判断するのは少し違うと思っています。
売り手市場を背景に最低時給の仕事は減ってきている
そもそも最低時給の仕事は減ってきています。バイトルの発表によると17年12月の関東の平均時給は1074円。東京都の最低時給958円よりも100円ほど高くなっています。もしも東京都だけで絞り込むとさらに高い時給になっていることが予想できます。
もしも不満があれば別の仕事を選択できる時代
給与は雇用主が最低時給以上であれば自由に設定できますが、企業の利益からの逆算ではなく地域や職種など周囲の人件費の相場で決まることが多いです。企業の利益に連動させてしまうと一方的に賃金を変えることにつながるので労働法として問題が発生します。
仮に搾取目的で最低賃金の募集があったとします。アルバイトという存在を軽く考えている雇用主がいたら応募しないことです。労働者側は職業選択の自由があるので給与が低いと感じたら応募しなければ害はありません。最低賃金で募集し続けても求職者から見向きもされないことを理解させてあげることが大事です。
最低賃金の募集でも応募があると雇用主は「このままでも大丈夫」と判断し、時給は上がりません。応募がないと「このままじゃダメだ。時給を上げよう」と考え方を改めるので、これが雇用主と労働者の正しい関係性だと思います。
経済の話でいくと「時給を上げる気がない」「時給を上げられない」どちらにしてもアルバイトが集まらないと事業が成り立たなくなり最終的に淘汰されます。これが自然な経済の流れだと思います。
アルバイト市場なら求人サイトのバイトルやタウンワークを見れば驚くぐらいたくさんの求人が溢れており、豊富に仕事探しができるバブル状態。もしも働いていたとしたら転職することも比較的容易です。今は売り手市場なので、仕事はたくさんあります。
今回のまとめ
最低賃金だとしてもブラック企業ではない
最低賃金の募集はすぐわかる
最低賃金の仕事は減ってきている
最低賃金が不満だったら新しく仕事探しをしよう